セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-01:

小肝細胞癌に対する定位放射線療法における肝小体積耐容線量に関する検討 EOB-MRI肝細胞相を用いた解析

演者 井倉 技(市立池田病院 消化器内科)
共同演者 塩見 浩也(彩都友紘会病院 放射線科), 福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 澤井 良之(市立池田病院 消化器内科), 小来田 幸世(市立池田病院 消化器内科), 大西 孝典(市立池田病院 消化器内科), 倉橋 知英(市立池田病院 消化器内科), 八木 麻衣(市立池田病院 消化器内科), 谷 瑞季(市立池田病院 消化器内科), 安岡 秀高(市立池田病院 消化器内科), 呉 隆進(都島放射線クリニック), 中村 仁信(彩都友紘会病院 放射線科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科)
抄録 我々は小肝細胞癌に対する定位放射線療法(SBRT)の効果と安全性に関して報告してきたが、SBRT後の効果判定や被照射野の評価は血流動態を解析したimaging modalityでは不十分である。今回我々は、EOB-MRI肝細胞相を用いて肝の小体積放射線耐容線量につき検討したので報告する。【対象と方法】切除不能あるいは切除を希望されず、RFAにて治療困難な3cm以下、3個以内の転移性肝細胞癌10例、硬変肝を有する肝細胞癌54例を対象とした。SBRTはVARIAN社のTrilogyまたはBRAINLAB社のNovalisを用いて、呼吸同期または腹部圧迫により呼吸制限により、40から65 Gyを4から25分割で照射した。治療計画時のCTと照射後3から6ヵ月のEOB-MRIの画像をフュージョンし、EOB-MRI肝細胞相の低信号を呈する部分と最もよく一致するアイソドーズラインを設定し、それを肝小体積の耐容線量とし、正常肝と硬変肝で比較した。耐容線量はα/β=2としてLQモデルに基づくBED (Biological effective dose)で比較した。【結果】1) 肝細胞癌は全例において治療後6ヶ月までに腫瘍濃染像は消失し、2例に局所再発を認めた。またCTCAE grade 2以上の有害事象は認めず、6ヶ月後のchild-pugh scoreも有意な低下を認めなかった。2) 治療後のEOB-MRI肝細胞相では、線量に依存する明瞭な低信号域が認められ、耐用線量の閾値の存在が示唆された。また正常肝の耐容線量はBED2で92.3 ± 38.6 Gyであったが (median ± SD)、肝硬変では55.6 ± 37.6 Gyに低下していた。【結論】SBRTは小肝細胞癌に対し低侵襲で十分な局所制御が可能だが、肝硬変では肝の小体積耐容線量は正常肝の60%に低下しており、肝機能を温存するためにはBED2 50 Gy以上照射される体積を減らす必要があると考えられた。
索引用語 定位放射線療法, 耐用線量