セッション情報 一般演題

タイトル 21:

腹部超音波検査が診断に有用であった腰ヘルニアの1例

演者 中川 泰生(寺元記念病院 外科)
共同演者 柳川 憲一(寺元記念病院 外科), 松永 伸郎(寺元記念病院 外科), 平川 弘聖(大阪市立大学 医学研究科 腫瘍外科学講座)
抄録 患者は70代男性。肝硬変にて本院通院中であった。発症時期は不明であるが、右腰背部に8×6cm大の柔らかく比較的扁平な皮下腫瘤を認めていた。他院にて脂肪腫と診断されており痛みや違和感などの自覚症状が無く、本人も治療を希望しなかったため経過観察を行っていた。肝硬変に対する定期的な腹部超音波検査の際、右腰背部腫瘤の検査も行ったところ腫瘤の中に腸管様構造物および腹膜の線状高エコーの断裂を認め、またプローベによる圧迫により腸管様構造物は消失した。以上により脂肪腫でなく腰ヘルニアと診断した。自験例は腸管の脱出もあり絞扼の危険性があるため、治療としては手術による根治術が妥当と考えられたが、高度肝硬変を合併しており本人の希望もあり経過観察をすることとした。腰ヘルニアは稀な疾患であるが、腰背部の解剖学的抵抗減弱部位に発生し、加齢による周囲組織の脆弱化が原因となることが多いとされ、今後の高齢化に伴い症例の増加が予想される疾患である。高齢者の腰背部の隆起性病変を認めた際には当疾患も念頭に置く必要があると考えられた。今回我々は、超音波検査にて診断された腰ヘルニアの一例を経験したため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 腰ヘルニア, 脂肪腫