セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y6-03:

難治性の大腸憩室出血に対してバリウム充填術が奏功した1例

演者 小山 秀和(市立伊丹病院 消化器内科)
共同演者 樫原 優子(市立伊丹病院 消化器内科), 大内 祥平(市立伊丹病院 消化器内科), 三浦 由雄(市立伊丹病院 消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院 消化器内科), 明田 寛史(市立伊丹病院 消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院 消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院 消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院 消化器内科), 佐治 雪子(市立伊丹病院 消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院 消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院 消化器内科)
抄録 【目的】大腸憩室出血の診断には下部消化管内視鏡検査で憩室からの鮮血の流出あるいは憩室内に露出血管が確認出来れば出血源と診断できる。しかし大腸憩室は多発していることが多く出血憩室が同定出来ないケースや検査時には自然止血している例が多い。また、抗血小板薬、抗凝固薬を内服中の場合は自然止血後も再出血する危険があり、憩室出血の治療に苦慮することがある。今回当院で難治性の大腸憩室出血に対してバリウム充填術が奏功した1例を経験したので若干の文献的考察をまじえて報告する。【症例】60歳代男性【既往歴】高血圧、糖尿病【現病歴】201X年4月某日、突然便意をもよおし、排便と同時に新鮮血の下血を認めた。その後数回の下血を認めたため、翌日当院内科を受診し、下血の精査加療目的で入院となった。入院後絶食とし、下部消化管内視鏡検査を施行したが、腸管内に凝結塊が残存したため、下行結腸に憩室を認めるも出血源は不明であった。一旦下血は治まったが、第2病日夕より再燃し、Hbが 9g/dlまで低下したため輸血を施行し、第3病日に上部・下部消化管内視鏡検査を施行した。下行結腸に、内部に凝結塊が付着した憩室を認めたためクリッピングを施行した。その後下血を認めず、第6病日食事を開始したところ、同日夜より再度下血が出現。第7病日に下部消化管内視鏡検査や造影CT検査を施行したが出血源の同定は出来なかった。下血を繰り返し、下部消化管内視鏡検査や造影CT検査で出血源が不明であることから第8病日に注腸用バリウム原液1200mlを注入し、バリウム充填術を施行し、第11病日の腹部レントゲン検査で憩室内にバリウムの残留を認めた。バリウム充填後は下血を認めず、第21病日退院となった。退院後6ヶ月経過観察しているが再出血を認めていない。【考察】内視鏡による原因憩室の特定が困難で下血を繰り返す大腸憩室出血症例ではバリウム充填術が有効であると考えられた。
索引用語 憩室出血, 下血