セッション情報 |
Freshman Session(卒後2年迄)
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タイトル |
F1-07:造影CT時のステロイド前投薬で症状消失した好酸球性胃腸炎の1例
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演者 |
水越 健太(天理よろづ相談所病院 消化器内科) |
共同演者 |
大村 亜紀奈(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 吉川 貴章(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 美馬 淳志(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡部 誠(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 森澤 利之(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 塩 せいじ(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 宮島 真治(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 木田 肇(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 岡野 明浩(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 沖永 聡(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 久須美 房子(天理よろづ相談所病院 消化器内科), 大花 正也(天理よろづ相談所病院 消化器内科) |
抄録 |
【症例】48歳男性。主訴は腹痛。X年7月より左上~下腹部に針で刺されるような腹痛が出現し、徐々に増悪。近医で上部消化管内視鏡を施行され、表層性胃炎に対しPPI投与されるも改善せず、当院消化器内科紹介受診。血液検査で好酸球増加、腹部エコーで小腸の拡張、単純CTで左側小腸の壁肥厚、直腸膀胱窩に少量の腹水を認め、精査目的に入院。【既往歴】48歳:喘息(発作は今まで2回)【アレルギー歴】キウイ、山芋、アセトアミノフェン【現症】BT36.0度 BP120/76mmHg HR80bpm,reg,RR16回/分,SpO2 98%(room air)頭頸部・胸部・四肢異常なし 腹部 左上腹部~下腹部深く押すと圧痛(+)【入院時検査所見】Hb15.2g/dl, WBC4900/μl, Eosino14.4%(705.6),Plt20.5×10^4/μl, CRP<0.2, 血沈60秒値 2mm 肝胆道系酵素異常なしIgE 740 抗核抗体抗体価<40 PR3-ANCA<0.1, MPO-ANCA<0.1, C3 78.0, C4 22.5CH50 25.7, 虫卵(-), 抗寄生虫抗体スクリーニング(-)【入院後経過】入院後も腹痛は持続。各種検査所見より寄生虫や血管炎は積極的に疑わなかった。好酸球性胃腸炎の可能性を疑い上部・下部消化管内視鏡施行し、食道~大腸までの各部位で生検。喘息の既往があることから、造影CTは入院後にESUR Guidelinesに従って12時間前と2時間前にPSL30mgを経口投与して施行したところ、この直後より腹痛が著明に改善した。造影CTでは既知の所見のみ。病理では、食道、胃での生検から粘膜下への好酸球浸潤を認めた。好酸球増加、病理組織所見、喘息の既往、PSLによる症状消失から好酸球性胃腸炎と診断し、PSL40mg経口投与を開始して退院。現在腹痛は認めず、外来でPSLの減量をしつつ経過観察中である。【考察】好酸球性胃腸炎は10万人に10~20人の割合でまれな疾患であるが、QOLを著しく低下させ、穿孔など重大な合併症を起こしうるため、適切な診断と治療が必要で、ステロイド投与が有効とされる。今回、診断途中で偶然使用したステロイドにて症状が劇的に改善し、診断の一助となった興味深い症例を経験したので報告する。 |
索引用語 |
好酸球性胃腸炎, ステロイド |