セッション情報 ワークショップ2「併存疾患と進行度に応じた消化器癌の治療戦略」

タイトル W2-09:

大腸癌イレウスに対する術前金属ステント留置術の有用性についての臨床的検討

演者 恩田 紗緒里(守口敬任会病院 消化器内科)
共同演者 島田 守(守口敬任会病院 外科), 高尾 美幸(守口敬任会病院 消化器内科), 阪口 正博(守口敬任会病院 消化器内科)
抄録 【背景】消化器癌に対する治療選択肢は多岐にわたり、基本的には癌の進行度に応じて適応が検討される。大腸癌イレウスに対する治療は、経肛門的イレウス管留置から保険適応により術前金属ステント留置術が新たな選択肢として普及しているが、その適応や有用性の検討については、十分な議論されていない。
【目的】当施設では、大腸癌イレウスに対して気管支用Spiral Stentを用い、2011年11月以降はWallFlex Colonic Stentを用いて治療を行ってきたので、その適応と留置成功率の上昇への工夫について検討する。
【方法】対象は、2006年7月~2013年5月に経験した大腸癌イレウス72例である。内視鏡を狭窄部まで挿入し、透視下にステントを留置して減圧し、一期的に手術できることを目標とした。
【成績】ステント留置の契機は、イレウス発症が65例、CSにて高度の狭窄を認めたもの7例であった。ステント留置成功率は94.4%(68/72)と高率で、2例はガイドワイヤーによる腸管穿孔、2例はガイドワイヤー挿入困難のためステント留置困難であった。ステント留置後1例はステントの位置不良で、1例は腹痛出現(穿孔)にて、1例は便によるステント閉塞をきたし緊急手術となり、70例中61例で一期的待機手術が可能であった。
【結論】大腸癌イレウス症例に対して、ステント留置は10日程度の腸管安静後に一期的手術が可能であり、患者のQOLや全身検索が可能であったことを考慮すると非常に有効と考えられた。しかし、穿孔例や挿入困難例もあり、屈曲の強さや、狭窄の程度などを考慮し慎重な対応も必要であるが、手技やデバイスの工夫により、より安全に成功率を上げることが可能であると期待される。
索引用語 大腸癌イレウス, 金属ステント