セッション情報 一般演題

タイトル 44:

経過中に後天性第V因子インヒビターを発症した進行膵癌の1例

演者 日比野 千尋(大阪厚生年金病院 消化器内科)
共同演者 日下部 瑛(大阪厚生年金病院 消化器内科), 曽我 彩子(大阪厚生年金病院 消化器内科), 加藤 幹那(大阪厚生年金病院 消化器内科), 加藤 穣(大阪厚生年金病院 消化器内科), 塩出 悠登(大阪厚生年金病院 消化器内科), 村井 一裕(大阪厚生年金病院 消化器内科), 松村 有記(大阪厚生年金病院 消化器内科), 北 久晃(大阪厚生年金病院 消化器内科), 西塔 民子(大阪厚生年金病院 消化器内科), 河合 知代(大阪厚生年金病院 消化器内科), 中田 悠紀(大阪厚生年金病院 消化器内科), 濱野 美奈(大阪厚生年金病院 消化器内科), 千葉 三保(大阪厚生年金病院 消化器内科), 前田 晃作(大阪厚生年金病院 消化器内科), 内藤 雅文(大阪厚生年金病院 消化器内科), 道田 知樹(大阪厚生年金病院 消化器内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院 消化器内科)
抄録 【症例】40代男性【主訴】心窩部痛【現病歴】2013年4月頃より食欲不振と心窩部痛が出現。症状増悪するため、6月末に近医で上部消化管内視鏡検査を受け、十二指腸球部腫瘍からのoozingを指摘されたため、精査加療目的に紹介受診。理学所見では、心窩部に約5cmの腫瘤を触知し、眼球結膜・皮膚黄染を認めた。入院時血液検査所見:WBC 11200/μL, RBC 488万/μL, Hb 15.7g/dL, PLT 24.2万/μL, T-Bil 6.2mg/dL, D-Bil 4.3mg/dL, AST 127IU/L, ALT 178IU/L, ALP 1087IU/L, γ-GTP 1186IU/L, BUN 9mg/dL, Cr 0.78mg/dL, CRP 1.15mg/dL, PT 97%, APTT 31.1秒, CEA 91ng/mL, CA19-9 256128U/mL, Span-1 11000U/mL, DUPAN-2 8500U/mL. 腹部造影CTでは、膵頭部に7cmの腫瘤とそれより末梢の主膵管拡張、上部総胆管・肝内胆管拡張、多発肝SOLを認めた。また、上部消化管内視鏡検査では、十二指腸球部浸潤による高度狭窄により下行脚へのファイバー通過は不能であった。以上より、膵頭部癌の下部総胆管・十二指腸浸潤および多発肝転移と診断。第4病日にPTCDチューブ留置、第12病日に経皮経肝的に胆道ステント留置を行った後は順調に減黄が進んだが、第19病日の胃-空腸バイパス施行後から逆行性胆管炎のコントロールに難渋するようになった。同時期よりPT延長傾向となり、第41病日の血液検査で、PLT 24.2万/μL, PT 5%, APTT 353秒, Fbg 274mg/dL, FDP 5.6μg/mLと著明な凝固異常が出現した。同日FFP 6単位投与するも検査値改善が見られないため、なんらかの凝固因子インヒビターの存在を疑い凝固因子活性を測定したところ、第V因子活性0.8%と著明な低下と、第V因子インヒビターの出現が確認された。第42病日より、PSL 0.8mg/kg/day投与を開始したところ、徐々に凝固能改善し、第64病日には第V因子活性34%まで改善を認めた。後天性第V因子インヒビターとは、第V因子に対する後天的な自己抗体出現によって第V因子活性が低下し出血症状を来たす極めてまれな疾患である。今回、進行膵癌の経過中に後天性第V因子インヒビターを発症した1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 後天性第V因子インヒビター, 膵癌