セッション情報 パネルディスカション「炎症性腸疾患の内科・外科境界領域」

タイトル P-08:

潰瘍性大腸炎手術症例からみた年齢別の特徴と手術タイミング

演者 内野 基(兵庫医科大学 下部消化管外科)
共同演者 松岡 宏樹(兵庫医科大学 下部消化管外科), 坂東 俊宏(兵庫医科大学 下部消化管外科), 冨田 尚裕(兵庫医科大学 下部消化管外科), 池内 浩基(兵庫医科大学 下部消化管外科)
抄録 高齢の潰瘍性大腸炎(UC)では急速に悪化することがあり手術タイミングが重要とされている.しかし高齢とはいえ60-80歳までは幅がありその背景は異なる.今回,手術症例から年齢別に特徴,問題点を検討した.【対象】2000年1月~2013年2月までに当院で手術を行ったUC1,122例を対象としA60歳未満(n=949)B60歳代(n=118)C70歳以上(n=55)に区別して検討した.【結果】病悩期間には有意差はなかった(p=0.27).大部分が全大腸炎型であったが活動期で手術となった症例は有意にBCで多かった(p=0.01).病型には有意差はなかったがBでcancer/dysplasiaの手術適応が31%と有意に多かった(p=0.01).ステロイド総投与量はCで4500mgとAの10,000mgに比して低かったが(p=0.04)がBとCには有意差を認めなかった.免疫調節剤はA29.9%B18.6%C14.5%と年齢とともに有意に減少していたが(p<0.01),BCには有意差がなかった.BiologicsはA3.7%B8.5%C1.8%とCで少ない傾向であったが有意差は認めなかった(p=0.07).緊急手術は約20%前後(p=0.81)で相違なかった.肛門温存手術はA94%B58%C7%と有意にCで少なく(p<0.01),Aでは99%がIPAABではIACAが26%Cでは94%がTPCであった.術後合併症のうち感染合併症はA24.6%B5.6%C47.3%と年齢とともに増加していたが(p<0.01),BCでは有意差はなかった(p=0.14).手術部位感染,肺炎,DICも年齢に従って有意に増加していたが(<0.01),BCで有意差はなかった.周術期死亡はA2(0.2%)B5(4.2%)C4(7.3%),緊急手術ではA2(1.1%)B4(16%)C3(25%)と有意に年齢とともに増加していたがBCで有意差は見られなかった.【結語】70歳以上のUCは手術への移行が比較的早いと考えるが周術期の合併症は多い.一方で60歳前後の症例でも術後合併症は多かったが,手術移行,術式選択には迷う場合もあり症例を呈示しつつ問題点について考える.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 周術期合併症