セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-06:

進行肝癌に対するソラフェニブによる治療戦略

演者 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
共同演者 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 細谷 和也(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 南出 竜典(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 北本 博規(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌(HCC)に対してソラフェニブが使用可能となり約4年半が経過した。今回、当院のソラフェニブ導入例における治療成績および予後に関連する因子につき報告する。【方法】2013年4月までにソラフェニブ投与を行った52症例における治療効果および予後規定因子、さらにAFP値の推移と治療効果につき検討を行った。【結果】平均年齢は68(32-85)歳、男女比は40:12、Child-Pughスコア5/6/7/9 24/19/8/1例であった。46例(88%)でHCC治療歴を有しており、TNM stage II/III/IVA/IVB 1/19/13/19例であり、15例(29%)で脈管浸潤を認めた。投与開始量は45例(85%)において800mg/日、残り7例では400mg/日であった。投与期間中央値は67(10-1393)日であった。他治療併用臨床試験に登録した2例を除くChild-Pugh A 41例におけるMSTは347日、1・2年生存率は50・28%であった。一方Child-Pugh B(7点:n=8)症例のMST 93日と不良で投与期間中央値も28日と短期間であった。Child-Pugh A症例において長期生存に寄与する因子(単変量解析)はChild-Pughスコア5点(vs 6点)、ソラフェニブ減量あり、mRECISTによる初期治療効果がPRまたはSD(vs PD)があげられ、多変量解析では初期治療効果のみが独立した予後規定因子であった(HR 0.111, 95%CI 0.026-0.477; p=0.003)。また投与開始時AFP>10ng/ml(中央値612ng/ml)かつ投与期間が4週以上であった31症例を用いた検討では、投与開始4週または8週時に投与前に比し20%以上のAFP上昇がみられた症例では、投与開始12週以内にPDと判定される可能性が高かった(感度90%、特異度91%、陽性的中率94.7%)。【結語】早期減量を含めた適切な対策により長期投与が可能となり、予後の向上が期待できる。一方ソラフェニブ投与開始後、早期の段階で明らかなPD症例は予後不良である。治療開始後早期にAFP上昇を認めた症例では他治療への切り替えを念頭に注意深く観察すべきと考える。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ