セッション情報 一般演題

タイトル 33:

結腸穿孔をきたしたcollagenous colitisの1例

演者 黒田 顕慈(市立柏原病院 外科DELIMITER大阪市立大学大学院 腫瘍外科)
共同演者 堀 武治(市立柏原病院 外科), 仲田 文造(市立柏原病院 外科), 武田 香織(市立柏原病院 内科), 杉田 奈央子(市立柏原病院 内科), 湯川 知洋(市立柏原病院 内科), 奥山 正嗣(市立柏原病院 内科), 諏訪 いすず(市立柏原病院 内科), 石津 弘隆(市立柏原病院 内科), 高石 修(市立柏原病院 内科), 石川 哲郎(市立柏原病院 外科), 平川 弘聖(大阪市立大学大学院 腫瘍外科)
抄録 今回我々はcollagenous colitisから結腸穿孔に至った症例を経験したので報告する。症例は72歳の男性。突然の腹痛と水様便を認めたため,当院を受診した。既往歴に高血圧と大動脈弁置換術後があり,降圧薬,抗凝固薬及びプロトンポンプ阻害薬を内服している。来院時の理学的所見として,発熱はなく,左側腹部に圧痛と筋性防御を認めた。血液検査では白血球数及びCRPは正常値であったものの,好中球分画の増加を認めた。腹部単純CT検査にて下行結腸にfree airを認め,周囲脂肪織の濃度上昇及び腸管浮腫を認めた。以上より,消化管穿孔の診断にて同日に緊急手術を施行した。腹腔鏡下に手術を開始し,腹腔内を観察したところ,腹水は認めず,結腸脾弯曲部に著明な発赤と浮腫を認めた。同部を責任病変と判断し,左半結腸切除術を行った。切除標本に憩室はなく,縦走潰瘍を数条認めた。病理組織学検査にて基底膜直下に厚さ45-49μmの膠原線維沈着をびまん性に認め,collagenous colitisの所見であった。術後経過は良好で,プロトンポンプ阻害薬の内服を中止とし,経過観察を行っている。collagenaous colitisは免疫異常や薬剤(プロトンポンプ阻害薬,非ステロイド性抗炎症薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬など)との関連が指摘されており,同薬剤を継続的に内服している患者が原因不明の腹痛や水様便をきたした場合,当疾患も念頭に置いて診療にあたることが肝要であると考えられた。
索引用語 collagenous colitis, 消化管穿孔