セッション情報 一般演題

タイトル 28:

免疫学的便潜血反応検査を契機に診断された潰瘍性大腸炎の臨床的特徴

演者 垣内 伸之(大津赤十字病院 消化器科)
共同演者 小澤 智美(大津赤十字病院 消化器科), 松本 慎平(大津赤十字病院 消化器科), 内海 貴裕(大津赤十字病院 消化器科), 松本 淳(大津赤十字病院 消化器科), 森 義治(大津赤十字病院 消化器科), 大野 千景(大津赤十字病院 消化器科), 曽我部 裕子(大津赤十字病院 消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院 消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院 消化器科), 三上 貴生(大津赤十字病院 消化器科), 松永 康寛(大津赤十字病院 消化器科), 友野 輝子(大津赤十字病院 消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院 消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院 消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院 消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院 消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院 消化器科)
抄録 【目的】大腸がん検診受診者の増加に伴い、免疫学的便潜血反応検査(FOBT)陽性を契機として潰瘍性大腸炎(UC)と診断される症例が増えてきており、その臨床的特徴を明らかにするため検討を行った。【方法】2006年4月から2013年10月までの間に検診でFOBT陽性となり下部消化管内視鏡検査(CS)を施行した症例のうち、UCを疑う粘膜病変を認めた16例について検討した。【成績】最終的にUCと診断した群(A群)は13例、一過性の炎症性変化と診断した群(B群)は3例であった。A群は初回CS所見でUCを疑う粘膜病変に加えて生検で病理学的な慢性炎症所見が得られ、かつCS再検時にもCS所見が持続していたことからUCと診断した。一方B群は、初回CS所見はUCとして矛盾しないものの生検で病理学的な慢性炎症所見が得られず、かつCS再検時に粘膜病変が消失したため一過性の炎症性変化と診断した。年齢はA群30~60歳(中央値46)、B群38~64歳(中央値41)、男女比はA群11:2、B群2:1、FOBT2回陽性はA群9例、B群0例であった。初診時に詳細な病歴聴取で血便、下痢などの症状を有したのはA群3例、B群0例、初回CS時のMayoスコアは平均でA群1.69点、B群1点であった。A群では13例中11例でUCとしての治療が開始された。直腸からの連続性病変のみの6例は口側進展をみとめなかったが、虫垂開口部など口側結腸に分節状の病変を伴った7例のうち4例はその後の経過中に病変範囲の拡大をみとめた。口側進展した4例のうち3例は初診時無症状であったがその後症状が出現した。口側進展しなかったが後になって症状が出現した症例は1例あり、直腸の炎症所見が中等度と強かった。【結論】FOBT陽性を契機に発見されたUCは、詳細な遡及的病歴聴取、FOBT持続陽性、経時的なCS所見の持続、病理学的な慢性炎症所見等が診断のポイントと考えられた。また、初回CS時に虫垂開口部病変を含む口側腸管の分節状病変が存在する症例では、その後の経過中に病変範囲の口側進展をみとめた。FOBTを契機に発見された症例はUCの初期像と考えられ、興味ある特徴を示したため文献的考察を加えて発表する。
索引用語 便潜血反応, 潰瘍性大腸炎