セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-01:

bilomaに隣接した肝細胞癌に対して定位放射線療法が著効した一例

演者 下田 彬允(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
共同演者 牧野 祐紀(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 塩見 浩也(彩都友紘会病院放射線科), 江崎 久男(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 阪森 亮太郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 薬師神 崇行(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 大川 和良(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 重川 稔(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 加藤 元彦(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 赤坂 智史(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 新崎 信一郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 西田 勉(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 中村 仁信(彩都友紘会病院放射線科), 巽 智秀(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 平松 直樹(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
抄録  症例は80歳男性。2002年よりC型慢性肝炎にて当科通院中であった。2007年肝S5に初発肝細胞癌(HCC)を認めRFAを施行した。以後2009年同部位の局所再発に対してRFA、2011年S3再発に対してTACE、S5局所再発に対してTACEおよびRFAを施行した。 2013年5月S3、S5に各15mm大の再発を認めたため加療目的にて入院となった。入院時のChild-Pugh scoreは5点(Grade A)であった。根治的局所治療の適応となり得る病期であったが、S3の病変は消化管に近接し、S5の病変は過去のRFAによって生じたbilomaに隣接しており、いずれも穿刺治療単独による根治は困難と考えられた。そこでまず両病変に対してTACEを施行した結果、S3のHCCには十分なリピオドールの貯留を認めたものの、S5のHCCはTACEによる胆管障害のリスクを考慮してmildな塞栓療法にとどめたため、淡い貯留を認めるのみとなり効果不十分であった。S5のHCCは追加治療が望ましいと考えられたが、胆管障害の危険性からRFA、PEITは施行困難と考えられたため、総線量48Gy、4分割照射による体幹部定位放射線療法(SBRT)を行った。SBRT後1か月のdynamic CTにて腫瘍濃染の完全消失を認め、現在治療後3か月が経過しているが再発は認めず、また肝機能悪化、bilomaや胆管拡張の増悪等の有害事象もなく経過している。 SBRTは小腫瘍に対して短期間のうちに高精度に集中的大線量を投与する放射線治療の一種で、近年HCCに対してもその有用性が報告されている。bilomaに隣接したHCCに対しては胆管障害のリスクから、RFA、PEIT、TACE等による治療は困難であり、従来は外科的切除が行われてきた。過去にbilomaに隣接したHCCに対しSBRTを施行した報告はなく本症例が初の報告であるが、低侵襲かつ安全に治療可能であった。今後bilomaに隣接したHCCに対してSBRTが有効な治療選択肢となり得ると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 定位放射線治療