セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-09:

長期間経過観察中の肝lymphoid hyperplasiaの1例

演者 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
共同演者 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 細谷 和也(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 南出 竜典(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 北本 博規(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 佐竹 悠良(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 今井 幸弘(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理科)
抄録 【症例】47歳、女性【主訴】特訴なし【既往歴】2002年子宮頚癌に対して広汎子宮全摘術施行後放射線治療施行。【飲酒歴】機会飲酒。【常用薬】なし。【現病歴】2002年子宮頚癌に対して当院婦人科で加療後定期的に経過観察をされていたが、2005年腹部エコー検査で肝S3に径8mm大の低エコー結節を認め、当科紹介となった。以後定期観察されたが、増加・増大傾向は認めなかった。2008年PET-CT検査でFDGの集積を認めたため悪性肝腫瘍の可能性も否定できず腫瘍生検が検討されたが、小病変で約3年の経過観察期間において変化を認めなかったため、最終的に経過観察を継続する方針となった。以降も、大きさ・性状には変化を認めなかったが、本年に行ったソナゾイド造影エコー検査では動脈優位相にて結節全体が染影され、門脈優位相からKuppfer相にかけて明瞭なdefectを呈しており、またGd-EOB-MRI検査では同結節はT1WIで低信号、T2WIで淡い高信号、DWIで高信号、肝細胞相でdefectを呈しており、画像的には肝細胞癌の可能性を否定できなかった。少なくとも経過からは悪性腫瘍の可能性は否定的であったが、診断確定のために経皮的腫瘍生検を施行、lymphoid hyperplasiaとの病理診断に至った。以後も経過観察中であるが、明らかな変化を認めていない。【考察】lymphoid hyperplasiaは眼窩、消化管、皮膚、甲状腺などの全身の各種臓器における発生例の報告があるが肝臓における同病変の報告は少ない。一般に肝lymphoid hyperplasiaは画像検査上、肝細胞癌との鑑別は困難とされており、切除後に確定診断に至る症例も少なくない。本症例は診断に至るまでに時間を要したものの、長期間にわたる経過観察がなされており、本疾患の自然経過を考察する上で貴重な症例と考えられるため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝臓, 炎症