セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-06:

肝転移にて再発した分化型粘膜内癌、リンパ管侵襲陽性の早期胃癌の一例

演者 陶山 遥介(京都第一赤十字病院)
共同演者 山田 真也(京都第一赤十字病院), 太田 崇之(京都第一赤十字病院), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院), 中野 貴博(京都第一赤十字病院), 豊川 優季(京都第一赤十字病院), 川上 巧(京都第一赤十字病院), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院), 世古口 悟(京都第一赤十字病院), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院), 中村 英樹(京都第一赤十字病院), 佐藤 英樹(京都第一赤十字病院), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院), 木村 浩之(京都第一赤十字病院), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院)
抄録 症例は64歳、男性。2012年1月前医で前庭部前壁の早期胃癌を指摘され、内視鏡治療目的に当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査では前庭部前壁に大きさ10mm大、褪色調の扁平隆起病変を認め、生検にて分化型腺癌の診断であった。肉眼的深達度MのIIa型早期胃癌と診断し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。病理組織検査結果はtub1-pap, 16×10mの粘膜内癌で一部に印環細胞成分を伴っていた。腫瘍の直接浸潤は粘膜筋板までであったが多数のリンパ管侵襲があり、ごくわずかに粘膜下層にもリンパ管侵襲を認めたため、非治癒切除と診断した。同年3月に追加外科切除として幽門側胃切除、D1+#8a郭清を施行した。切除標本では腫瘍の遺残は認めず、ESDを含めた最終診断としてはpT1b(sm1),pN0,cM0,Stage IAであった。術後経過は良好であり、外来にてフォローしていたところ、術後1年後の造影CTで肝右葉を中心として多発する低吸収域を認めた。肝生検を施行するとadenocarcinomaであり、胃癌肝転移と診断した。現在はS-1+CDDPによる抗がん剤治療を行っている。
本症例はリンパ管侵襲陽性で腫瘍の粘膜内病変の一部に未分化型成分を伴うESD適応外病変であったため、追加外科切除、リンパ節郭清を施行したが、肝転移にて再発をきたした。未分化混在型の粘膜内癌の取り扱いについては遠隔転移を含めた慎重な経過観察が必要であると考えられる。
索引用語 早期胃癌, 再発