セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-07:

肝膿瘍を合併した進行胃癌の一例

演者 中江 裕史(第二岡本総合病院 消化器内科)
共同演者 岡崎裕二 裕二(第二岡本総合病院 消化器内視鏡内科), 下村 哲也(第二岡本総合病院 消化器内視鏡内科), 児玉 正(第二岡本総合病院 消化器内科), 本井 重博(第二岡本総合病院 消化器内科)
抄録 症例は83歳男性。発熱を主訴に当院外来受診した。血液検査でWBC 14060,CRP 16.4と著明な炎症反応の上昇を認めた。単純CTで肝S8に5×4cm 大の腫瘤性病変と胃体部にも6×6cmの腫瘤性病変を認めた。造影CTで、肝の腫瘤性病変の周囲肝実質に早期濃染、被膜様の造影効果あり肝膿瘍と診断した。上部消化管内視鏡検査で、胃体中部後壁に1型進行胃癌を認め生検にて低分化腺癌と診断した。肝膿瘍に対して経皮経肝膿瘍ドレナージ及びCPZ/SBTを投与し、炎症反応改善と膿瘍の縮小を認めた。膿汁細菌培養ではα-streptococcusが検出された。胃癌に対して胃全摘術(脾臓温存+Rouxen-Y再建)が施行され、病理所見はAdenocarcinoma,Type1, 62x57mm, por1, pT2, med, INFb, ly2, v1, pN1(2/24), pPM0(73mm),pDM0 (51mm)、Stage2Aであった。悪性腫瘍に合併した肝膿瘍の報告は大腸癌や胆道癌に多く、胃癌との合併例は少ない。胃酸の影響により胃内常在菌が少ない事がその理由であると考えられる。本例ではmucosal barrierの破壊により経門脈的に肝膿瘍を形成したと考えられた。また、起炎菌については本邦でα-streptococcusによる肝膿瘍の報告があり、本例でも起炎菌であると考えた。肝膿瘍を認めた際には、上部消化管悪性腫瘍に続発する肝膿瘍の可能性も考慮すべきである。
索引用語 肝膿瘍, 進行胃癌