セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-03:

胆管癌と鑑別が困難であった硬化性胆管炎の1例

演者 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 山田 真也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院 消化器内科), 太田 崇之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院 消化器内科), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器内科), 川上 巧(京都第一赤十字病院 消化器内科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科), 谷口 史洋(京都第一赤十字病院 外科), 佐藤 修(京都第一赤十字病院 放射線診断科部), 中尾 龍太(京都第一赤十字病院 病理診断科部), 浦田 洋二(京都第一赤十字病院 病理診断科部)
抄録 【症例】78歳男性。高血圧、脳梗塞、慢性C型肝炎、COPDにて近医通院中、腹部超音波検査で肝左葉に石灰化を伴う肝腫瘤を認めたため2013年7月に当院へ紹介となった。血液検査にてCA19-9の上昇と、ダイナミックCTで肝左葉に石灰化病変と胆管狭窄を疑う所見、肝門部リンパ節腫大を認めたため、ERCP予定であった。しかし8月中旬に心窩部痛で当院救急受診、胆管炎の疑いで緊急入院、ERCPを施行した。その際、総胆管結石を認めるとともに、左肝内胆管の狭窄所見があり、採石後、狭窄胆管部より細胞診を施行したところ、adenocarcinoma疑いの結果であった。CTでは肝S4に3cm大の腫瘤影が出現したため、肝腫瘤に対してソナゾイド超音波検査を施行した。エコー上、S4に境界やや不明瞭な低エコー結節があり、造影を行うと動脈相で周囲肝と同程度の血流を有するが、クッパー相では造影効果に乏しい腫瘤を認めた。以上の所見から肝細胞癌は否定的であり、胆管細胞癌(CCC)、あるいは炎症性腫瘤の可能性が考えられた。PET-CTでは、肝内の腫瘤、肝門部のリンパ節も含めて集積は認めなかった。肝腫瘤は急速に出現しており、膿瘍の可能性も考えられた。10月に再度ダイナミックCTを施行した。S4の腫瘤は1.5cm大に縮小を認めた。CCCが否定出来なかったため、拡大左葉切除術を施行した。肉眼上、左肝管は拡張し、肝管内には結石が充満しており、S4に1cm程度の境界明瞭な結節を認めた。病理診断上は、明らかな悪性の所見は認めず、組織学的にはdenseなfibrosisを伴う硬化性胆管炎所見であった。【まとめ】画像所見、術前の細胞診でも悪性を疑う所見を認め、胆管癌と診断に苦慮した硬化性胆管炎の一例を経験した。発表に際しては若干の文献的考察を交えて報告する。
索引用語 硬化性胆管炎, 腫瘤