セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-08:

胸腔鏡・腹腔鏡下右横隔膜修復術により改善した難治性肝性胸水の一例

演者 小谷 知紘(関西労災病院 消化器内科)
共同演者 戸田 万生良(関西労災病院 消化器内科), 明神 悠太(関西労災病院 消化器内科), 村井 大毅(関西労災病院 消化器内科), 水谷 直揮(関西労災病院 消化器内科), 吉水 祥一(関西労災病院 消化器内科), 土居 哲(関西労災病院 消化器内科), 嶋吉 章紀(関西労災病院 消化器内科), 水本 塁(関西労災病院 消化器内科), 小豆澤 秀人(関西労災病院 消化器内科), 中村 剛之(関西労災病院 消化器内科), 柄川 悟志(関西労災病院 消化器内科), 糸瀬 一陽(関西労災病院 消化器内科), 伊藤 善基(関西労災病院 消化器内科), 萩原 秀紀(関西労災病院 消化器内科), 林 紀夫(関西労災病院 消化器内科)
抄録 症例は76才女性。約7年前より非B非C型肝硬変と診断され、他院通院中であった。約6年前に食道静脈瘤破裂による上部消化管出血に対して内視鏡的静脈瘤硬化療法及び結紮術を施行後より、当院にて通院加療中であった。外来通院当初より右胸水貯留を少量認めており、利尿剤内服にて治療を行っていたが、約4年前より、徐々に右胸水が増加傾向となった。入院にて食事療法、利尿剤調整、アルブミン製剤点滴静注にて胸水は一旦改善し、退院後再度増加することを繰り返していた。さらに、胸水増加のため呼吸困難がしばしば出現し、利尿剤増量により胸水は減少するものの、肝性脳症を発症することが多くなった。2013年3月、胸水増加、呼吸困難のため当科入院し、治療を行った。入院時の血液検査は、Plt 4万/μl、PT 57%、T-Bil 3.8mg/dl、AST 29U/L、ALT 20U/L、Alb 3.3g/lであり、肝性脳症を認めなかった。胸部レントゲンでは、右胸腔の大部分を占める胸水を認め、腹部超音波検査では少量の腹水を認めた。入院後、胸水に対して利尿剤増量、アルブミン製剤投与、胸水ドレナージなどを行ったが、十分な改善が得られないため、通常の内科的治療ではコントロールは困難であると判断した。腹水の胸腔内への流入が胸水増加の原因であると考え、腹腔内に投与したジアグノグリーンが胸水へ流入することを確認した後、OK-432による胸膜癒着術を計5回施行したが、やはり胸水コントロールは不十分であった。そのため、腹腔から胸腔への流入路に対する治療として、外科にて胸腔鏡・腹腔鏡下右横隔膜修復術を施行したところ、術後胸水は増加せず、現在胸水コントロールは良好である。肝硬変に伴う難治性肝性胸水に対して外科的治療が奏功した一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝硬変, 肝性胸水