セッション情報 シンポジウム「メタボリックシンドロームと肝胆膵疾患」

タイトル S-05:

NASHの非侵襲的診断のためのスコアリングシステム ―JSG-NAFLD共同研究の結果から-

演者 角田 圭雄(京都府立医科大学大学院 医学研究科 消化器内科学DELIMITERJapan Study Group of NAFLD (JSG-NAFLD))
共同演者 岡上 武(大阪府済生会吹田病院DELIMITERJapan Study Group of NAFLD (JSG-NAFLD)), 伊藤 義人(京都府立医科大学大学院 医学研究科 消化器内科学DELIMITERJapan Study Group of NAFLD (JSG-NAFLD))
抄録 NASHの診断には肝生検が必須であるが、NAFLD全例に肝生検を施行することは現実的には困難である。そこでわれわれは多施設共同研究グループJapan Study Group of NAFLD (JSG-NAFLD)で非侵襲的診断法の開発を行ってきた。まずNASHとNAFLの鑑別では、肝生検で診断したNAFLD 177例においてNASHに寄与する因子を多変量解析で求めると、血清ferritin(男性300, 女性200ng/ml以上), 空腹時insulin(10μU/ml), typeIV collagen 7S (5.0ng/ml以上) が有意であった。そこで各項目を1点、1点、2点の合計4点としたスコアをNAFICスコアと命名した。Validation group 442例では、NAFICスコア2点以上で感度60%、特異度87%、陽性的中率85%、陰性的中率64%であった。また、insulin 15μU/ml 以上を2点とするmodified NAFIC scoreの有用性も示唆された。Stage3以上の進行例の鑑別には海外からFIB4, NAFLD fibrosis score (NFS), BARD scoreなどの有用性が報告されているが、日本人NAFLD 576例を用いてvalidation studyを行うと、ROC曲線下面積による評価ではFIB4 index: 0.871, NFS: 0.863, BARD: 0.765とFIB4 indexがもっと有用であった。さらにNAFLD 1048例においてstage4に寄与する因子として血小板 (PLT), アルブミン (Alb), AST/ALT比 (AAR )が選択された。3つのパラメータを組み合わせてPLT 15.3万未満(=1点), Alb 4.0g/dl未満(=1点), AAR 0.9以上(=1点)を PLALA score (0-3点) とすると、肝硬変の診断において2点以上で感度87%、特異度91%、陽性的中率26%、陰性的中率99%であった。結論:国内の多施設共同研究の結果からNASHの予測にはNAFIC scoreが、stage 3以上の鑑別にはFIB4-index, stage4の診断にはPLALA scoreが有用である。今後は国内外の施設を含めたexternal validation studyが必要である。謝辞:本研究はJSG-NAFLD参加施設(旭川医大、横浜市大、市立奈良病院、広島大学、高知大学、大阪市立大学、佐賀大学)との共同研究であり、協力頂いた先生方に深謝申し上げます。
索引用語 NASH, 肝生検