セッション情報 一般演題

タイトル 46:

膵漿液性嚢胞腫瘍との鑑別を要した通常型膵癌の1例

演者 光山 俊行(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科)
共同演者 高岡 亮(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 池浦 司(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 島谷 昌明(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 内田 一茂(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 三好 秀明(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 住本 貴美(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 伊藤 嵩志(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 桝田 昌孝(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 關 壽人(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 岡崎 和一(関西医科大学附属枚方病院 消化器肝臓内科), 里井 壮平(関西医科大学附属枚方病院 外科), 權 雅憲(関西医科大学附属枚方病院 外科), 大江 知里(関西医科大学附属枚方病院 病理科), 坂井 由紀子(関西医科大学附属枚方病院 病理科), 植村 芳子(関西医科大学附属枚方病院 病理科)
抄録 症例は62歳の男性。2012年7月頃から体重減少を自覚し、前医を受診された。その際のMRIでは膵頭部にT1強調像で低信号、T2強調像で等信号を呈する30mm大の腫瘤を認め、腫瘤内に高信号を呈する嚢胞成分がみられた。主膵管には拡張などの異常は認めなかった。造影CTでは腫瘤の充実部に淡い造影効果を示した。造影EUSでは腫瘤は血流信号を認め、辺縁に小嚢胞が集簇していた。PET-CTでは充実部に一致してわずかに集積を認めた。以上の結果より、前医では膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)と診断され経過観察となったが、2012年10月に当院に紹介受診となった。当院でEUSを再検査したところ前医の所見と同様に充実部と小嚢胞の集簇が混在し、充実部には血流信号を認めることや主膵管が正常であることからSCNと判断した。しかし、前医でのPET-CTにて軽度の集積を認めていたことから、手術を勧めたが患者の希望で慎重に経過観察することとした。当院受診2ヶ月後のMRI、CTでは、膵頭部の腫瘤は上腸間膜動脈を巻き込むようにサイズが増大し、PET-CTでは腫瘤の異常集積は亢進していたため、膵癌を疑い膵頭十二指腸切除術を施行した。摘出標本では腫瘍は白色調の充実性腫瘤で一見、明らかな嚢胞は認めず、病理組織診断は高分化型の管状腺癌であった。最終診断はT3N1M0 StageIIIであった。SCNは他の原発性膵嚢胞腫瘍と異なり、悪性化は極めて例外的であることから、典型的な画像所見を呈する症例では経過観察が可能であるが、画像診断のみで的確に診断するのは時に困難であるため、このような症例では慎重な経過観察が必要である。今回我々はSCNとの鑑別を要した通常型膵癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵漿液性嚢胞腫瘍, 通常型膵癌