セッション情報 ワークショップ2「併存疾患と進行度に応じた消化器癌の治療戦略」

タイトル W2-05:

透析患者における胃腫瘍への粘膜下層剥離術の現状とその問題点

演者 曽我 幸一(西陣病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 葛西 恭一(西陣病院 消化器内視鏡センター), 伊谷 賢次(西陣病院 消化器内視鏡センター)
抄録 【背景・目的】日本透析学会によると、2011年末で透析患者は30万人に達し、現在も増加している。今後も増加する透析患者における内視鏡治療への対策は知っておくべき事項である。今回当院透析患者における胃腫瘍への粘膜下層剥離術(ESD)の現状と問題点を報告する。【検討】2003年2月から現在まで維持透析患者にESD施行した8名、10例を検討した。平均年齢は74.2(65-88)歳、男女比は7:1、基礎疾患はDM7例、慢性腎炎1例であった。病変は癌:腺腫=6:4、部位は前庭部:胃体下部=9:1、術前アスピリン内服3例であった。【結果】治療平均時間は48.4(7-140)分、切除径は11.8(5-24)mm、一括切除率は90%(1例分割切除)、一括治癒切除率は89%(1例sm2)、平均絶食期間2.2日で、非透析例と相違ない結果であった。術後合併症3例で、出血2例(2日目、8日目)、フサンショック1例であった。フサンショックを来した症例を提示する。[症例9、10]83歳男性。DM性腎症で維持透析、虚血性心疾患にてPCI歴あり。フサンによる透析歴あり。胃前庭部2病変へESD施行し、一括切除、術中合併症なく終了。翌日ヘパリンで透析開始したが、途中フサンへ変更。フサン変更直後に呼吸困難を訴え、意識レベル低下。アナフィラキシーへの対応を行いながら、ヘパリンへ再度切り替え、透析を継続。その後、意識レベル回復し、事なきを得た。【結語】当院における胃腫瘍へのESDの現状とその問題点を報告した。治療手技に関しては、一般患者と同様の管理でほぼ問題ないが、透析特有の合併症を理解する必要がある。
索引用語 胃腫瘍, 透析