セッション情報 シンポジウム4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の理想的な住み分け:新しい検診方式を目指して

タイトル 検S4-11:

当センターにおける人間ドックへの胃がんリスク検査導入の考え方

演者 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター)
共同演者 菊地 亮介(宮城県対がん協会がん検診センター), 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
抄録 一般に、胃の検査としては、胃X線検査や胃内視鏡検査、血清ヘリコバクター・ピロリ(Hp)抗体検査やペプシノゲン(PG)法などが知られている。人間ドックなどの任意型検診で行われる胃がん検診では、胃癌死亡率減少効果が認められた胃X線検査に加え、精密検査に用いられる胃内視鏡検査もスクリーニング検査として用いられている。一方、血清Hp抗体検査やPG法などは胃癌の存在診断はできないため、胃がんスクリーニング検査としての有効性の証明はなされていないが、受診者の胃がん発生リスク評価を行うには有用な方法と期待されている。これらの検査については胃がん高危険度群に対する内視鏡検診や除菌による胃がん予防の可能性などについてマスコミなどで取り上げられ受診者の関心も高まっている。そこで、当センターでも平成23年度より人間ドックのオプション検査として血清Hp抗体検査とPG法併用による胃がんリスク検査を導入し、さらに、胃がん予防を目的とした私費による除菌希望者に対応するためのピロリ菌専門外来を開設した。当センターでは胃がんリスク検査を受診者の胃の健康度チェックとして位置づけており、胃X線検査や内視鏡検査に代わるものではなく、検査結果にかかわらず胃がんの発見には胃がん検診を受ける必要があることを通知している。また、除菌希望者については1年以内に胃がん検診を受けていることを前提とし、専門医が除菌のメリット・デメリットを十分説明したうえで実施している。平成23年度は約5500人のドック受診者のうち500名ほどがリスク検査を申し込み、Hp陽性者の10名ほどが私費による除菌治療を希望した。震災後とはいえ受診者のHp感染に対する関心の高さをうかがわせる結果であった。Hp感染は胃癌のみならず、消化性潰瘍やマルトリンパ腫など種々の疾患に関与している。こうした意味からはリスク検査は胃がんスクリーニングと言うよりも胃の総合的な健康診断として捉えても良いかもしれないと考えられた。
索引用語 胃がん検診, リスク評価