セッション情報 ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

総胆管結石症に対する治療法の選択と長期成績 (EST:内視鏡的治療 vs LCBDE:腹腔鏡下手術)

タイトル 内W15-5:

Propensity score matchingを用いたEST/EPBDの長期予後の比較検討

演者 土井 晋平(岐阜大・1内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大・1内科), 森脇 久隆(岐阜大・1内科)
抄録 【背景】総胆管結石に対する内視鏡治療、ESTとEPBDの長期予後の比較については未だ一定の見解が得られていない。その要因のひとつとして交絡因子が複雑に影響することが考えられる。【目的】Propensity score matchingを用いてESTとEPBDの長期予後を比較する。【方法】1991年10月より当院および関連施設において内視鏡的治療を行った初回総胆管結石治療患者のうち術後1年以上経過観察しえた症例を適格基準とした。多重ロジスティック回帰モデルによりsampleごとのpropensity scoreを算出し両群で1対1のmatchingを行った。Primary endpointは結石再発および胆管炎の発生とし、さらに胆嚢の状態別にsubgroup解析を行った。【結果】調査により予後が判明したのは1092例(EST 708例・EPBD 384例)。EST、EPBD両群に有意な差がみられた背景因子は結石径、結石数、傍乳頭憩室の有無、術後胆嚢温存の有無、観察期間であった。有意な差のない背景因子は性別、年齢、処置回数、併用療法(ML砕石等)の有無、胆管径、術前胆嚢の有無、胆嚢結石の有無、有石胆嚢温存の有無であった。算出したPropensity scoreをもとに抽出されたsampleは両群ともに246例。結石再発・胆管炎はEST群37例(15.0%)に対してEPBD群21例(8.5%)(RR 1.76, 95%CI 1.06-2.92, P=0.035)。術後10年の累積発生率はEST群15.7%、EPBD群9.4%(P=0.041)。胆嚢の状態別解析では術後胆摘症例において10年累積発生率はEST群19.4%、EPBD群8.2%と有意な差を認めた(P<0.01)。【結語】EST/EPBD後の乳頭機能の差が長期予後に影響を及ぼすことが示唆された。特に胆摘後症例ではその差が顕著であった。
索引用語 EST, EPBD