セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y1-04:

2峰性の肝障害を示した早期梅毒合併、急性B型肝炎の1例

演者 菅原 安章(赤穂市民病院 消化器科)
共同演者 三井 康裕(赤穂市民病院 消化器科), 青山 直樹(赤穂市民病院 消化器科), 勝谷 誠(赤穂市民病院 消化器科), 高尾 雄二郎(赤穂市民病院 消化器科), 小野 成樹(赤穂市民病院 消化器科)
抄録 【症例】25歳、男性【主訴】全身倦怠感【現病歴】平成25年5月8日より感冒様症状を主訴に近医を受診した。その後皮膚黄染を指摘され当院受診した。トランスアミナーゼ(Trans)・ビリルビン(Bil)上昇を認め、精査加療目的で入院した。【アレルギー】なし【その他】針治療歴・輸血歴なし【生活歴】複数性交渉歴+【入院時現症】体温37.6度、血圧116/80mmHg、脈拍数85回/分、眼球結膜黄染あり、心・肺に異常所見なし、腹部では肝脾腫を認めた【血液検査】WBC 7200/μl、RBC 528万/μl、Hb 15.7g/dl、PLT 22.7万/μl、PT 63%、T-Bil 7.9mg/dl、AST 1106U/l、ALT 2307U/l、γ-GTP 157U/l、NH3 51μg/dl、HBsAg 2000COI以上、IgM-HBc 32.9S/CO、HBeAg 61.3S/CO、HBV-DNA 6.2logcopy/ml(genotypeA)、RPR 3.1U、TPLA 534TU、IgM-HA 0.4S/CO未満、IgA-HEV・HIV・AMA・抗核抗体陰性【入院後経過】入院時血液生化学検査から急性B型肝炎及び早期梅毒の合併と診断した。点滴補液による加療でTrans・Bil値は順調に低下していたが、約2週間後より再上昇を示し、肝性脳症及びPT30%から急性肝不全と診断した。そのためエンテカビルにより抗ウイルス療法及び血漿交換を行い、また遷延する胆汁うっ滞に対してステロイド投与施行した。現在ステロイド減量でき、抗ウイルス療法継続し経過良好である。【考察】本例はHBV-DNAが入院時6.2から約2週間後には3.9logcopy/mlと順調に低下していたにも関わらず、Trans・Bilが再上昇を示した。また一方血清梅毒反応(RPR値)は3.1から190Uと2週間で上昇を示したことから、急性B型肝炎に早期梅毒の肝障害が加わった可能性が疑われた。早期梅毒に伴う肝障害の病態はまだ不明な点も多く、文献的考察を加え報告する。
索引用語 早期梅毒, 急性B型肝炎