セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-03:

Burned-out NASHの経過を組織学的に確認できた肝細胞癌の一剖検例

演者 上野 智子(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科)
共同演者 堀元 隆二(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 奥田 佳一郎(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 安田 律(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 旭爪 幸恵(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 大矢 寛久(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 加藤 隆介(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 天野 一郎(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 関 耕次郎(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 千藤 麗(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 松本 淳子(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 田中 いずみ(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 澤井 直樹(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 水野 智恵美(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 水野 雅之(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 島 俊英(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科), 岡上 武(大阪府 済生会 吹田病院 消化器内科)
抄録 【緒言】近年、生活スタイルの欧米化に伴い生活習慣病の増加に伴う肝障害、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が我が国で最も高頻度の肝疾患となり注目されている。NASHは進行すると脂肪沈着が消失し、いわゆるburned-outNASHといわれる状態となり、長期的にフォローされていない症例ではNASHからの肝癌症例であっても背景肝をNASHと診断することが困難となる。今回我々は慢性肝炎期から肝生検にてNASHと診断し、肝硬変、肝細胞癌の経過を組織学的に確認できた一剖検例を経験したので報告する。【症例】79歳男性【現病歴】2005年より慢性肝炎で近医通院していた。2008年当院初診となり、CTにて肝硬変の所見を認め、腹腔鏡下肝生検を施行したところ肝細胞内には40%の脂肪変性があり、ballooningや核の糖原化、鉄の沈着を認めBruntのstage4、grade3のNASHと診断された。その後は外来にて経過観察していたが、肝性脳症で入退院を繰り返す状態となった。2011年9月フォローのために施行したCTで多発の肝細胞癌を認めた。その後も異常行動や被害妄想を伴った肝性脳症を繰り返し、コントロールに難渋した。2012年5月12日意識障害にて当院救急搬送され、脳症治療にて一旦は意識状態改善したものの、肝不全が進行し、第11病日永眠された。ご家族が病理解剖に同意されて、病理解剖を施行した。剖検では肝臓は1140gと萎縮し、肝硬変偽小葉形成F4・高分化型の肝細胞癌所見を認め、NASHに特徴的な肝細胞の障害像の同定が困難でありいわゆるburned-outNASHの組織像と診断した。また肝内・肝外門脈に癌栓を認めたが、その他明らかな遠隔転移はなかった。【結語】今回、長期的にフォローすることにより組織学的にNASHからいわゆるburned-outNASHの経過をたどり肝硬変・肝細胞癌に移行した一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Burned-outNASH, 肝細胞癌