抄録 |
症例は78歳男性.2005年に横行結腸癌に対し横行結腸切除D2郭清(2型,MP, N0, H0,P0,M0,Stage1)を施行された.2007年に肺転移を指摘され,以降化学療法(BV+FOLFOX4, BV+FOLFIRI)及び肺部分切除術を繰り返した.2012年3月に呼吸苦,血痰が出現し,胸部CTで気管内に隆起性病変を認めた.気管支鏡検査を施行した所,上部気管,下部気管,気管分岐部にそれぞれ転移を疑う腫瘍を認め,生検の結果,免疫染色でCK20陽性の腺癌であり大腸癌の気管内転移と診断した.左主気管支に80%以上の狭窄を来たしており,十分なInformed consentの上,気管支鏡下でAPC及び高周波スネアを用い腫瘍の減量を行ったところ,呼吸苦に改善が見られた.以降も気管内転移の出現,増大を繰り返したが,化学療法(S-1+CPT-11)と併せて気管支鏡下に腫瘍の縮小を行う事で呼吸苦の緩和を図れている.大腸癌の気管内転移は比較的稀であり,生存率も一様に悪いと報告されている.本症例では気管内転移を内視鏡的に治療する事でQOLを改善でき,延命効果に寄与したと考えられ,若干の文献的考察を加えてここに報告する. |