セッション情報 ワークショップ1「肝細胞癌治療の現況と展望」

タイトル W1-08:

進行肝細胞癌に対するPIHPを軸とした集学的治療の現状と展望

演者 田中 基文(神戸大学 肝胆膵外科)
共同演者 福本  巧(神戸大学 肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大学 肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大学 肝胆膵外科), 蔵満 薫(神戸大学 肝胆膵外科), 木下 秘我(神戸大学 肝胆膵外科), 津川 大介(神戸大学 肝胆膵外科), 福島 健司(神戸大学 肝胆膵外科), 浦出 剛史(神戸大学 肝胆膵外科), 宗 慎一(神戸大学 肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大学 肝胆膵外科), 岡崎 太郎(神戸大学 肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大学 肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大学 肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大学 肝胆膵外科), 具  英成(神戸大学 肝胆膵外科)
抄録 本邦のコンセンサスにもとづく肝細胞治療アルゴリズムでは、腫瘍個数が4個以上あるいは脈管浸潤陽性の局所進行例に対してはTACEや肝動注などが第一選択治療と挙げられ、切除の適応は限定的とされている。また欧米のBCLC criteriaでは、多発例はTACE、門脈浸潤例はソラフェニブと明記されており、進行肝癌における外科的切除の役割は非常に低い。当施設では1989年に高用量肝動注化学療法としてPIHP(経皮的肝灌流)を開発し、その強力な肝局所制御を背景に、両葉多発肝癌に対して通常適応とならない減量切除を積極的に施行し、PIHPと組み合わせた2段階治療を推進してきた。これまで95例に2段階治療を企図し、完遂した85例の奏効率69%(CR27%, PR42%)、MST20か月、5年生存率24%であり、TACEやソラフェニブでは望めない局所制御と予後延長を達成してきた。一方、巨大肝癌で肝静脈や下大静脈への圧排・浸潤が強く減量肝切除が困難な症例も存在する。そのような症例に対しては術前PIHPを先行して主腫瘍の縮小を図ったのちに肝切除する戦略を2010年より本格的に取り入れており、これまで12例に術前PIHPを行い、11例で肝切除を完遂している。また肝機能面で切除不可能な症例に関しては、切除の代替として粒子線治療を行い、PIHPにて残存腫瘍を制御する試みも行っている。これは肝癌に対する粒子線治療の高い局所制御率を背景としているが、これまで6例の集積があり、粒子線治療後のPIHPの安全性に問題はなく、その奏効率は50%であった。今後進めていく試みとしては、PIHP後補助化学療法としてPIHPの局所制御効果の維持および肝外転移予防を企図したソラフェニブ投与があり、臨床試験として開始したところである(試験ID:UMIN000008689)。今後の展望として、PIHPは現在自費診療であるが、先進医療もしくは保険適応の認可を目指して取り組んでいる。PIHPや粒子線治療が診療アルゴリズムに記載されるようになるには、さらなるエビデンスの集積と治療の普及が必要と考えている。
索引用語 進行肝細胞癌, PIHP