セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-06:

診断に苦慮した1型糖尿病患者に合併したglycogenic hepatopathyの1例

演者 定光 ともみ(奈良県立医科大学付属病院 臨床研修センター)
共同演者 瓦谷 英人(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 賀屋 大介(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 錦織 麻衣子(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 相原 洋祐(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 浪崎 正(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 野口 隆一(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 吉治 仁志(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科)
抄録 【症例】22歳、男性。【現病歴】前医小児科にて平成12年より1型糖尿病に対してインスリン治療を行っていた。定期検査にて軽度の肝機能障害を認めて、平成20年頃より、時々AST/ALTが3桁まで上昇することがあった。以後も肝機能障害が出現するために、前医内科に紹介となった。肝機能障害の原因検索の為に各種ウイルス検査を行うも陰性であり、自己免疫疾患や先天性代謝疾患も否定的であった。画像上著明な肝腫大、脂肪肝を認めた。平成23年8年に施行した肝生検組織は大滴性の脂肪沈着を認め、肝細胞の風船状変性および小葉内に軽度の炎症細胞浸潤を認めており、非アルコール性病コントロールおよび肝障害の為に、当院へ紹介となった。BMIは22.4と正常であったが、高度の脂肪肝および肝腫大を認めた。平成24年8月に糖尿病性ケトアシドーシスのため入院となった。入院時の肝機能はAST/ALTが341/200と著明に高値であった。点滴、持続インスリン治療により、翌日から血糖値も安定し、肝機能も徐々に低下した。入院中に再度肝生検を施行したが、pericellular fibrosisを認める以外は、前医と同様のNASHを疑う組織像であった。その後、特に自覚症状はないが再度AST/ALTが826/550と上昇した。通常のNASHでは説明がつかない為組織切片にてPAS染色および消化PAS染色を行った。肝細胞にグリコーゲンの沈着が著明であり、glycogenic hepatopathyと診断した。また前医での肝生検組織でもグリコーゲンの著明な沈着を認めていた。【結語】今回我々は、診断に苦慮したglycogenic hepatopathyの1例を経験した。Glycogenic hepatopathyは主に1型糖尿病のコントロール不良例において、肝組織にグリコーゲンが沈着し肝機能障害を引き起こすまれな疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 glycogenic hepatopathy, 1型糖尿病