セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-08:

腸アニサキス症に合併した腸重積症の一例

演者 眞鍋 繁雄(康生会 武田病院 消化器内科)
共同演者 高橋 周史(康生会 武田病院 消化器内科), 中部 奈美(康生会 武田病院 消化器内科), 平田  育大(康生会 武田病院 消化器内科), 松山  竜三(康生会 武田病院 消化器内科), 山口 琢(康生会 武田病院 消化器内科), 遠藤  雄基(康生会 武田病院 消化器内科)
抄録 【症例】35歳、男性【主訴】心窩部痛、嘔吐、吐血【既往歴】特記事項なし
【現病歴】平成X年9月、突然の心窩部痛,嘔吐を来したため近医を受診。対症療法により一時的に心窩部痛は軽減したが、頻回の嘔吐は持続、吐血も認めたため当院に紹介初診となった。
【経過】来院時のCT検にてトライツ靭帯近傍の空腸に腸重積所見を認めたが重積の原因は明らかではなかった。吐血及び腸重積の原因精査目的に緊急内視鏡検査を施行。十二指腸はトライツ靭帯近傍で著明な浮腫を来たしており、同部にアニサキス虫体を発見したため生検鉗子で虫体を回収した。胃内にはアニサキス虫体は発見されなかった。吐血の原因は頻回の嘔吐に伴うマロリー・ワイス症候群と診断した。内視鏡処置後、症状は速やかに改善、後日再検したCT検査では腸重積、腸管の浮腫性肥厚ともに消失していた。また、浮腫状粘膜の生検病理検査では、好酸球を含む炎症細胞浸潤を認めた。血液検査でも抗アニサキスIgG-A抗体は高値であった。発症の前々日にサバ・イカを生食しており、腸アニサキス症が原因で腸重積を来したものと診断した。
【考察】腸アニサキス症はアニサキス症の中でも比較的まれで、イレウスや腸重積症を合併することが知られている。従来、術前診断は困難で外科的手術がなされ切除標本により確定診断される症例がほとんどであった。今回、CTにてトライツ靭帯近傍の腸重積症の診断で内視鏡検査を行い、アニサキス虫体を発見、摘除することにより内科的に診断、治療することができた。腸重積症の症例においては本症も念頭に置いた対応が必要であると考えられた。
索引用語 アニサキス, 腸重積