セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-07:

アルコール性肝硬変に合併した腸間膜静脈血栓症の1例

演者 金道 勇気(社会医療法人 若弘会 若草第一病院)
共同演者 米田 頼晃(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 小田 道夫(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 高月 権治(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 親泊 智英(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 山下 和邦(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 大橋 理奈(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 江口 次郎(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 中本 博之(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 北川 克彦(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 小坂 博久(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 北野 厚生(社会医療法人 若弘会 若草第一病院), 山中 英治(社会医療法人 若弘会 若草第一病院)
抄録 症例:65歳男性。主訴:右側腹部痛。既往歴:55才アルコール性肝硬変及びアルコール依存症でアルコール治療専門病院に通院中。現病歴:平成25年9月15日午後より右側腹部痛を認め、近医を受診したが腸炎と診断され抗菌薬、整腸剤、鎮痙剤処方され帰宅。翌日腹痛は増悪し嘔吐も出現したため、当院へ救急搬送となった。来院時、右季肋部を最強点とする右側腹部痛、37度の発熱、腹部膨隆、筋性防御、反跳痛を認め、血液検査結果は、WBC12900/μl、CRP7.1mg/dlと炎症所見を認め、D-ダイマーは57.3μg/mlと増加していた。入院直後の腹部造影CTにて、上腸間膜静脈~門脈本幹の血栓と部分的な腸間膜脂肪織濃度上昇・壁肥厚及び同部位の造影不良を認めた。以上より、上腸間膜静脈、門脈血栓症、腸管の部分的な血流障害による汎発性腹膜炎と診断した。入院後、腹痛及び腹部膨満の増悪、血便の出現、腸蠕動音の消失を認めたため、腸管壊死の可能性を考えて試験開腹した。手術所見では、中等量の血性腹水、回盲部から口側へ60~120cmの回腸にうっ血性変化を認めた。このため同部位の腸管壊死と判断し、小腸部分切除術を施行した。病理所見では、切除腸管の粘膜に浮腫と肥厚を認め、腸間膜静脈は拡張し内部に血栓が充満していた。術後炎症反応、腹痛ともに改善が見られ、経過良好にて第11病日に退院となった。腸間膜静脈血栓症は急性腹症において比較的稀な疾患であり、早期診断、外科的治療の判断が困難な場合が多い。本症例は臨床経過、理学所見、検査所見から腹膜炎に至っており、腸管壊死の可能性を否定できないため試験開腹を行い、腸管部分切除術を施行した。今回、われわれは肝硬変に合併した腸間膜静脈血栓症の1例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。
索引用語 上腸間膜静脈血栓症, アルコール性肝硬変