セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 41:高ガストリン血症を伴った胃神経内分泌細胞腫瘍(NET)の一例 |
演者 | 田畑 優貴(大阪大学 消化器内科) |
共同演者 | 加藤 元彦(大阪大学 消化器内科), 渡部 健二(大阪大学 消化器内科), 新崎 信一郎(大阪大学 消化器内科), 江崎 久男(大阪大学 消化器内科), 重川 稔(大阪大学 消化器内科), 赤坂 智史(大阪大学 消化器内科), 阪森 亮太郎(大阪大学 消化器内科), 薬師神 崇行(大阪大学 消化器内科), 西田 勉(大阪大学 消化器内科), 巽 智秀(大阪大学 消化器内科), 大川 和良(大阪大学 消化器内科), 平松 直樹(大阪大学 消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学 消化器内科), 竹原 徹朗(大阪大学 消化器内科) |
抄録 | 症例は50代、女性。検診で胃に病変を指摘され当科紹介となる。上部消化管内視鏡検査では胃体上部前壁に径30mm大の頂部に陥凹を伴う粘膜下腫瘍を認めた。背景粘膜は胃体部中心に著明な萎縮性変化を認めた。血清ガストリン値は1355(基準値:150以下)pg/mlと高値であった。静注カルシウム負荷試験では血清ガストリン値が前値の142%と増加した。血清抗ヘリコバクター・ピロリ(HP)抗体、抗壁細胞抗体、抗内因子抗体はいずれも陰性であった。血清PTH値は64.9(基準値:60以下)pg/mlと軽度高値、血清カルシウム値は8.9(基準値:8.4-10.0)mg/dlと正常範囲であった。腹部造影CTでは胃体上部前壁に軽度に造影される径28mm大の腫瘤を認めたが、リンパ節、遠隔転移、その他の腫瘤影は認めず、頭部MRI検査でも頭蓋内に病変を認めなかった。選択的動脈内カルシウム注入試験(SACI test)では左胃動脈、右胃動脈でカルシウム静注により120%以上のガストリンの上昇を認めたが、固有肝動脈、上腸間膜動脈では上昇を認めなかった。病変部からの生検では索状、リボン状構造を示す異型上皮の増生を認め、免疫染色ではSynaptophysin、Chromogranin Aは陽性であった。SACI testの結果からはガストリンは胃で産生されていると考えられた。潰瘍の既往や胃酸分泌亢進所見を認めずガストリノーマは否定的で、カルシウム刺激試験の結果はG細胞の機能亢進によるものと考えた。下垂体腫瘍や副甲状腺機能亢進症の合併も認めず、以上から胃NETと診断した。病変が単発で径も大きかったことから孤発性腫瘍の可能性があると考えた。リンパ節郭清を含む胃全摘出術の方針としたが、患者の強い希望により腹腔鏡補助下胃部分切除術を施行した。切除標本の病理では核分裂像は2/10HPF、Ki-67陽性細胞1%未満で、最終診断はNET G1であった。 |
索引用語 | 胃神経内分泌細胞腫瘍, 高ガストリン血症 |