セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F4-06:結腸間膜膿瘍に対して超音波内視鏡下ドレナージ術が奏功した一例 |
演者 | 片岡 滋貴(京都府立医科大学附属病院 卒後臨床研修センター) |
共同演者 | 保田 宏明(消化器内科学), 石破 博(消化器内科学), 岡山 哲也(消化器内科学), 吉田 直久(消化器内科学), 鎌田 和浩(消化器内科学), 堅田 和弘(消化器内科学), 内山 和彦(消化器内科学), 十亀 義生(消化器内科学), 半田 修(消化器内科学), 高木 智久(消化器内科学), 石川 剛(消化器内科学), 阪上 順一(消化器内科学), 小西 英幸(消化器内科学), 八木 信明(消化器内科学), 内藤 裕二(消化器内科学), 伊藤 義人(消化器内科学) |
抄録 | 症例は60代男性。2013年2月臍周囲の激しい腹痛があったが医療機関を受診せず絶食で様子をみて自然軽快した。しかし発症12日後に気分不良あり近医救急受診。腹部造影CTで膵尾部の低吸収域、胃周囲から横行結腸腹側の脂肪織に液体貯留を認めた。補液、抗生剤投与にて一旦炎症反応は改善するが、画像上腹腔内の炎症波及部位が拡大し膿瘍化、腹水も増加してきたため、発症22日後、精査加療目的に当院転院となった。転院時の炎症反応はWBC19,200/μL、CRP17.37mg/mlであり、メロペネム(MEPM)投与を開始した。当院入院5日目に膿瘍周囲腫大リンパ節および腸間膜膿瘍に対して超音波内視鏡(EUS)下に観察、さらに試験穿刺を施行し、病理細胞診および細菌培養検査を行った。膵尾部低吸収域を伴うため、悪性疾患の鑑別を要したが、悪性所見は認めず、入院6日目に腸間膜膿瘍に対し、EUS下経胃的ドレナージ(内外瘻)を実施した。培養でE.faeciumが検出されたためバンコマイシンの追加投与を開始したが、経過中に好酸球の増多を認めMEPMは休薬。その後、炎症反応も改善しCTで膿瘍は著明に縮小を認めた。入院26日目に外瘻チューブから瘻孔造影を施行し膿瘍と結腸肝彎曲部間に交通があることを確認。この検査時に、膿瘍自体は縮小傾向であり外瘻チューブからの排液も少なかったため、外瘻は抜去し内瘻チューブのみ2本留置した。入院33日目に大腸内視鏡検査施行したところ、横行結腸肝彎曲部に壊死物質の沈着を認めこの部位が穿孔し膿瘍を形成したものと推察された。その後経口摂取開始し、残り2本の内瘻チューブも順に抜去することができた。入院中、四肢に紫斑、血清PR3-ANCA陽性を認め、皮膚科・膠原病内科対診。アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss Syndrome)の診断に至った。本症例は経過からアレルギー性肉芽腫性血管炎の腸管病変が疑われた。以上のような経過で内視鏡的に治療し得た結腸間膜膿瘍の症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 結腸間膜膿瘍, 超音波内視鏡 |