セッション情報 ワークショップ2「併存疾患と進行度に応じた消化器癌の治療戦略」

タイトル W2-06:

慢性腎臓病合併胃癌患者に対する胃切除術の短期長期成績

演者 松本 壮平(奈良県立医科大学 消化器・総合外科)
共同演者 高山 智燮(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 若月 幸平(奈良県立医科大学 消化器・総合外科), 中島 祥介(奈良県立医科大学 消化器・総合外科)
抄録 【背景と目的】慢性腎臓病(CKD)患者は増加しており、CKD患者が胃切除術を受ける機会も増えている。腎不全患者の手術リスクは高いとされており、CKD合併胃癌手術の治療成績を検討した。【対象と方法】1997から2011年までにR0手術を施行した胃癌患者で、CKD患者を糸球体濾過量(GFR)<29mlの高度低下(A群)47例(うち透析中21例)、30<GFR<59mlの中等度低下(B群)128例、GFR>60mlの腎機能低下の無い群(C群)798例と比較検討した。【結果】年齢はA群71歳、B群72歳で、C群64歳と比較し有意に高かった。pStageはIA/IB/IIA/IIB/IIIA/IIIB/IIIC/IVでA群19/9/6/6/5/1/1/2、B群56/14/23/7/9/8/6/5、C群394/101/79/61/46/50/45/22例であり、3群間に差はなかった。術前Hb、Alb値は腎機能が進行するにつれて低下していた。術式は胃全摘/幽門側切除/噴門側切除/PPGがA群11/38/0/0、B群39/72/7/10、C群224/422/61/91でC群に機能温存術式が多かった。リンパ節郭清はD1/D2でA群34/15、B群86/42、C群498/300で差は認めず。出血量はA/B/Cで348/436/429mlで3群間に差は認めなかったが、手術時間は258/263/284分でC群が長かった。術後合併症はA/B/C: 18(37%)/36(28%)/134(21%)例に発生し、縫合不全をA/B/C: 4(8.2%)/12(9.4%)/26(3.3%)例に認めC群が有意に少なかった。皮下膿瘍はA/B/C: 5(10.2%)/4(3.1%)/13(1.6%)例でA群が有意に多かった。また心血管、呼吸器合併症もA群に有意に多かった。在院死をA群3例(6.1%)、B群2例(2.3%)、C群3例(0.4%)に認め、A群が有意に多かった。3生率はA群49%、B群81%、C群85%でA群が有意に不良であった(P<0.0001)。またA群に有意に他病死が多かった。A群で透析患者と非透析患者では予後に差はなかった。【まとめ】中等度の腎機能低下例では合併症なし群と比較しほぼ同等の治療成績であったが、高度低下例は術後合併症も高率で、在院死も多い。経過中の他病死も多く、根治性を考慮しつつも手術適応の決定、術式選択には注意が必要と考えられた。
索引用語 胃癌, 胃切除