セッション情報 ワークショップ2「併存疾患と進行度に応じた消化器癌の治療戦略」

タイトル W2-07:

抗血栓薬休薬下大腸癌症例に対する手術治療戦略

演者 増田 勉(健生会奈良大腸肛門病センター)
共同演者 吉川 周作(健生会奈良大腸肛門病センター)
抄録 【はじめに】近年人口の高齢化に伴い、重篤な血栓塞栓症が増加し、抗血栓療法を受けている患者数が増加している。坑血栓薬の休薬には一定の血栓塞栓症発症リスクが存在する。このような症例に対する消化器外科手術、特に消化器癌手術の際には当センターも含めて多くの医療機関で、術前後抗血栓薬を休薬した状態で手術が施行されているのが現状である。【目的】当センターにおける血栓塞栓症をきたしやすい基礎疾患を有し、抗血栓療法施行中の大腸癌手術症例の成績を検討し、抗血栓薬休薬と手術治療の短期的妥当性を病変の進行度、術式、術前後の合併症頻度から検討する。【対象】平成24年1月から25年10月までの期間に当センターで手術を受けた上記条件を満たす大腸癌症16例。性別:男性9例、女性7例。年齢:61歳~84歳、平均70.2歳。【方法】術式、郭清度、進行度、抗血栓療法の対象となる基礎疾患、抗血栓薬、術前後合併症を調べた。【結果】術式は、全例に腫瘍の局在に応じた定型的手術が施行されていた。開腹手術は5例、腹腔鏡手術は11例であった。郭清度は、術前深達度診断がsmであった3例にD2郭清が行われた以外は全てD3郭清が行われ、重篤な基礎疾患を有していても郭清を手控えてはいなかった。進行度はIが4例、IIが3例、IIIaが7例、IVが2例であった。進行度IVの症例はH2肝転移とP1腹膜播種例で、局所制御のためにD3郭清が施行されていた。抗血栓療法の対象となる基礎疾患は、脳梗塞が5例、脳動脈瘤が1例、左内頸動脈狭窄症が1例、陳旧性心筋梗塞が2例、狭心症にてステント挿入例が3例、狭心症にてステント非挿入例が3例、心房細動が2例(含重複)であった。坑血栓薬は全て抗血小板薬で、単剤投与例が7例、2剤併用例が7例、3剤併用、4剤併用例がそれぞれ1例であった。全例に周術期の合併症は無かった。【結論】今回の検討では、抗血栓療法中の大腸癌手術症例に対して進行度に応じて定型通りの手術を施行しても、周術期の抗血栓薬休薬による合併症は見られなかった。しかし、今後慎重な対応が必要であると考える。。
索引用語 大腸癌, 抗血栓薬