セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-02:

再燃した好酸球性胃腸炎治療中に胃サイトメガロウイルス感染症を併発した1例

演者 平野 大樹(広島市立安佐市民病院 消化器内科)
共同演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院 内視鏡内科), 斎藤 裕平(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 田丸 弓弦(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 鳩岡 正浩(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 宮木 英輔(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 高田 俊介(広島市立安佐市民病院 内視鏡内科), 脇  浩司(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 上田 裕之(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 桑原 健一(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 木村  茂(広島市立安佐市民病院 消化器内科), 辻   恵二(広島市立安佐市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】7●歳,男性。【主訴】心窩部痛。【既往歴】気管支喘息。【嗜好】喫煙70本/day(15年間)。【現病歴】201●年11月に上腹部不快感が生じ,近医を受診。上部内視鏡検査にて出血性胃炎を認め入院加療となったが,心窩部痛の改善がなく,同年12月に精査・加療目的に当院入院となった。【検査所見】WBC 30600/μl(好酸球54%),CRP 9.3mg/dlと好酸球増多と炎症反応高値を認めた。Albは2.9g/dlであった。【経過】上部内視鏡検査では胃全体と十二指腸に浮腫状変化,びらんを認めた。胃体部の浮腫状粘膜とびらんからの生検では好酸球浸潤が目立ち,好酸球性胃腸炎と診断した。Prednisolone(PSL)40mgから投与開始し,第10病日にはWBC 12400/μl(好酸球3.4%),CRP 0.3mg/dlまで減少を認めPSL漸減し,第20病日に退院となった。外来にてPSLをさらに漸減し,201●+1年5月からはPSLを中止し経過観察していたが,201●+1年7月に心窩部痛の増強を認めた。採血ではWBC 26800/μl(好酸球36%),CRP 23mg/dlを認め,好酸球性胃腸炎の再燃と判断した。入院後再度PSL 40mg投与開始した。第8病日の採血ではWBC 11800/μl(好酸球0.8%),CRP 3.7mg/dlまで改善したが,心窩部痛が継続しており,第18病日に上部内視鏡検査を施行した。胃前庭部から体部にかけて浅い多発潰瘍を認め,潰瘍部からの生検にて核内封入体などを認めサイトメガロウイルス感染症と診断した。ガンシクロビル500mg/day投与を開始し,心窩部痛は改善し第37病日に退院となった。以後外来にてPSL漸減し,中止後再発なく経過している。【考察】好酸球性胃腸炎の治療はステロイド投与が中心であるが,ステロイドの漸減または中止により再発する症例も報告されている。本症例でもステロイド中止後に再燃し,さらに胃サイトメガロウイルス感染症を併発した。ステロイド投与量,投与期間については一定の見解はなく今後検討する必要があると思われる。【結語】再燃した好酸球性胃腸炎治療中に胃サイトメガロウイルス感染症を併発した1例を経験した。
索引用語 好酸球性胃腸炎, 胃サイトメガロウイルス感染症