セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | O-35:根治手術後早期に転移再発した膵神経内分泌腫瘍に対してエベロリムスが有効であった1例 |
演者 | 堀口 繁(岡山大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 加藤 博也(岡山大学病院 消化器内科), 榊原 一郎(岡山大学病院 消化器内科), 野間 康宏(岡山大学病院 消化器内科), 山本 直樹(岡山大学病院 消化器内科), 原田 亮(岡山大学病院 消化器内科), 堤 康一郎(岡山大学病院 消化器内科), 八木 孝仁(岡山大学病院 肝胆膵外科), 山本 和秀(岡山大学病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】症例は57歳女性。舌癌精査中の腹部CT で主膵管拡張と膵腫瘤が認められた。舌癌はstage1であり根治術施行後、膵臓精査目的で消化器内科紹介となった。造影CTでは膵頭部に径19mmの動脈相で軽度造影される腫瘤性病変と末梢側の膵管拡張を認めた。超音波内視鏡では境界明瞭であり内部がhypoechoicな充実性腫瘤として描出された。ソナゾイドを用いて造影すると早期に淡い造影効果が認められ、後期にはwash outされ典型的な所見ではないものの膵神経内分泌腫瘍を疑う所見であった。22G及び25Gの穿刺針を用いてFNAを施行するとcell blockの免疫染色でSynaptophysin並びにChromogranin Aが陽性であり膵神経内分泌腫瘍と診断した。内分泌症状は有さず非機能性膵神経内分泌腫瘍と考えられた。ENETS分類はT1N0M0 stage1であり、幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した。最終診断はWHO2010分類PNET G1、T1N0M0でpStage1と術前診断と一致し、断端は陰性であった。根治手術であったため追加治療は行わず外来にて経過観察を行っていたが、術後3か月後の造影CTで肝右葉、S2にrim-enhancementを伴う多発肝転移の出現を認めた。転移再発と診断しmTOR阻害剤であるエベロリムス10mgを開始した。投与後3か月後に造影CT、5か月後にEOB-MRIで評価を行ったところ原発巣には再発所見は認められず、転移巣はpartial response (PR)であった。現在にいたるまで6か月PRを維持し外来にて内服継続中である。【考察】膵神経内分泌腫瘍はmalignant potentialを有しており病期や病理組織学的分類(Grade)にかかわらず再発する危険性を有しており現時点ではその予見は困難である。しかしG1G2の多くは進行が比較的緩徐であり、また有効な薬剤の使用が可能になっていることから再発症例に対しても十分な治療効果をあげることが可能と考えられる。 |
索引用語 | 膵神経内分泌腫瘍, エベロリムス |