セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル O-36:

閉塞性黄疸を契機に診断されたvon Hippel-Lindau病の1例

演者 武澤 梨央(倉敷中央病院 消化器内科)
共同演者 久保 敦司(倉敷中央病院 消化器内科), 吉田 司(倉敷中央病院 消化器内科), 清輔 良江(倉敷中央病院 消化器内科), 石田 悦嗣(倉敷中央病院 消化器内科), 松枝 和宏(倉敷中央病院 消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院 消化器内科)
抄録 【諸言】von Hippel-Lindau病(VHL)は常染色体優性遺伝の疾患で多臓器に多様な腫瘍性病変を発生する疾患である。膵病変も高率に来たす事が知られているがこれを契機に診断される事は稀であり、今回閉塞性黄疸を契機に診断されたVHLの一例を経験したので報告する。【症例】57歳男性【主訴】黄疸、口渇、体重減少【現病歴】25年前より腹部エコーで両側副腎腫瘍と右腎腫瘍を指摘され、近医にて経過観察されていた。5か月前から黄疸、口渇と体重減少を認めて前医を受診。肝障害と高血糖を指摘され、腹部CTにて膵頭部腫瘤に伴う閉塞性黄疸が指摘されたことから内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)を施行された後に、精査加療目的に当科紹介となった。【家族歴】母;腎癌、兄;VHL、長女;血管芽腫・膵腫瘍、長男;血管芽腫・膵腫瘍・褐色細胞腫。【検査所見】腹部CTにて膵腫瘍、両側副腎腫瘍、両側腎腫瘍、脾腫瘍が指摘され、眼底検査で網膜に血管芽腫が指摘された。膵腫瘍は頭部に15mm大の多血性腫瘤として認められ、神経内分泌腫瘍が疑われた。多臓器に腫瘍が見られる事や家族歴からVHLが疑われた。【経過】膵腫瘍、脾腫瘍、両側副腎腫瘍に対し1期的に手術を施行し、その後腎腫瘍の治療を決定する方針となった。第8病日に内分泌代謝科に転科し負荷試験にて褐色細胞腫の診断を行い、第16病日より術前処置としてDoxazosinを1g/day開始し一時退院となった。その後外来でDoxazosinを16g/dayまで増量し、外科泌尿器科合同で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術、脾臓摘出術、両側副腎腫瘍摘出術を施行した。術後経過は順調で第33病日に退院となった。内分泌検査と病理組織診断にて膵腫瘍は非機能性膵神経内分泌腫瘍G1(WHO第4版)、副腎腫瘍は褐色細胞腫、脾腫瘍はLymphoid hyperplasiaと確定診断された。【結語】閉塞性黄疸を契機に診断されたVHLの1例を経験したので、若干の文献的考察を踏まえて報告する。
索引用語 VHL, 膵神経内分泌腫瘍