セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-37:膵仮性嚢胞に対するEUSガイド下ドレナージの1例-通電ダイレーター(Cysto-Gastro-Set)の使用経験-
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演者 |
大廻 あゆみ(鳥取生協病院 消化器内科) |
共同演者 |
宮崎 慎一(鳥取生協病院 消化器内科), 甲斐 弦(鳥取生協病院 消化器内科), 森田 照美(鳥取生協病院 消化器内科), 古田 賢司(島根大学医学部消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【はじめに】膵仮性嚢胞は、炎症や外傷により膵組織または膵管の損傷をきたし、膵液が膵内外に貯留する病態である。今回、慢性膵炎に合併した膵仮性嚢胞に対し、通電ダイレーターを用いたEUSガイド下ドレナージ術(EUS-guided cyst drainage;EUS-CD)を施行し良好な効果を得た1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は54歳の男性。アルコール性慢性膵炎にて近医通院中であった。2011年11月末、慢性膵炎が増悪。内服治療で軽快したが、12月中旬から左上腹部の膨隆が出現し徐々に増大。腹部膨満感や仰臥位での腹痛を認めるようになったため、12月末に近医より当院に紹介となった。受診時、左上腹部に成人頭大の腫瘤を触知した。腹部造影CTにて,膵体部に接して厚い壁を有する16×20cm大の単房性嚢胞を認めた。US、MRCPの所見と併せて、慢性膵炎急性増悪後の仮性膵嚢胞と考えられた。感染や出血兆候は認めず、自然縮小の可能性も残ったため保存的治療を開始した。その後も嚢胞は縮小傾向を認めず、第41病日にEUS-CDを施行。通電ダイレーターを使用し、内瘻・外瘻2本のドレナージチューブを留置した。その後腹満は著明に改善した。処置後20日目の腹部CTにて、外瘻チューブは小腸内に脱落していた。内瘻チューブは脱落なく、同日外瘻チューブを抜去した。退院前の腹部CTで嚢胞は4cm大に縮小を認めた。第71病日に退院。【考察】仮性膵嚢胞のドレナージにおいては、嚢胞穿刺後,瘻孔の拡張は胆管拡張ダイレーターなどで鈍的に行われることが多い。しかし、通電ダイレーターを使用することで、組織を凝固しながら少ない抵抗で十分な穿刺口を確保でき、嚢胞壁と胃壁の解離や、血管損傷による出血などの危険性を減らすことができた。また、嚢胞が比較的小さい場合には、嚢胞の可動性が大きく、鈍的な方法では拡張が安定して行えない可能性があり、そのような症例においても、通電ダイレーターの使用が有用であると思われた。 |
索引用語 |
膵仮性嚢胞, 嚢胞ドレナージ |