セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-18:門脈内膿瘍形成を伴う重症多発肝膿瘍の1例 |
演者 | 河野 通盛(松江市立病院 消化器内科) |
共同演者 | 杉原 誉明(松江市立病院 消化器内科), 上田 直樹(松江市立病院 消化器内科), 谷村 隆志(松江市立病院 消化器内科), 村脇 義之(松江市立病院 消化器内科), 三浦 将彦(松江市立病院 消化器内科), 吉村 禎二(松江市立病院 消化器内科), 山田 稔(松江市立病院 内科) |
抄録 | 症例は38歳男性。2012年5月より体調不良を自覚し、8月より食欲不振、発熱と共に心窩部より右季肋部痛を自覚するため8月6日に近医を受診した。近医のエコー検査で右上腹部の大きな腫瘤を指摘され、同日当院へ精査加療目的で紹介となった。初診時、肝機能障害、小球性貧血、左方移動を伴う白血球増多、CRPの上昇を認めた。造影CTで肝全体に多数の多房性で壁に造影効果のない嚢胞性病変を認め、門脈本幹、肝内門脈、上腸間膜静脈、脾静脈、短胃静脈の拡大と内部に液体貯留、血管壁濃染を認めた。特異な形態と病変の分布から当初膿瘍の他に肝嚢胞腺癌の門脈内浸潤も疑われたが、入院後の経皮エコー下肝生検の結果は腫瘍成分を認めず、肝膿瘍と考えられる所見であった。経験の乏しい画像所見であるため、国立がんセンターの画像診断コンサルテーションに問い合わせ、本邦では珍しい重症の多発肝膿瘍と門脈全域に及ぶ門脈内膿瘍形成との診断に至った。入院時静脈血培養の結果は陰性であったが、嚢胞穿刺吸引液の培養からはStreptococcus intermediusを中等量認め、原因菌の1つと考えられた。直ちに絶食、TPN管理の元に十分な量の抗菌剤を投与して保存的に治療を開始した。更に肝膿瘍ドレナージ、右胸水ドレナージを加えて長期間の抗菌剤投与を行った。その間、十二指腸潰瘍出血によるショック、胸水貯留による呼吸不全、心不全、ペニシリンショックなど多数の合併症を起こしたが、次第に解熱傾向となり病態は安定して食事再開後も再燃なく、全てのドレーンを抜去して11月18日退院となった。軽快後の造影CT所見では門脈血流の再開はなく、側副血行路の発達を認め、内視鏡上F1の食道静脈瘤形成を認めた。患者には明らかな基礎となる免疫不全所見はなく、門脈内膿瘍形成の原因として虫垂炎、憩室炎、腸炎、膵炎などを検討したが、今回の症例では明確な原因を指摘できなかった。 |
索引用語 | 門脈内膿瘍, 肝膿瘍 |