セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-38:術前診断に苦慮した仮性嚢胞を有する自己免疫性膵炎の一例 |
演者 | 中島 崇雄(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学) |
共同演者 | 戒能 聖治(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 播磨 博文(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 末永 成之(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 植木谷 俊之(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 原野 恵(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学), 飯田 道久(山口大学大学院 医学系研究科 消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大学大学院 医学系研究科 消化器・腫瘍外科学), 坂井田 功(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学) |
抄録 | 症例は71歳女性。糖尿病で近医通院中であった。20XX年6月に健診目的で造影CTを施行したところ、膵体部に嚢胞性病変を指摘された。MRIでも同様の所見を認め、分枝型IPMNの疑いで経過観察となった。3か月後にMRIを再検査したところ、病変が増大しており、20XX年9月に精査加療目的で当科紹介受診となった。血液検査では軽度の膵酵素上昇と腎機能障害を認めた。各種腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内であった。IgG、IgG4の上昇は認めなかった。Dynamic CTでは膵体部に2cm大の境界明瞭な充実性腫瘤を認め、内部に嚢胞成分を含んでいた。腫瘤より尾側の主膵管はわずかに拡張していた。腫瘤の実質部分は動脈相で造影効果に乏しく、門脈相から平衡相にかけて膵実質と同程度に造影された。MRIではT1WIで低信号、T2WIでわずかに高信号を示した。腫瘤内の嚢胞部分はT2WIで高信号を示した。前医で施行された3か月前の画像検査では嚢胞成分が主体であったが、当科受診時の画像検査では充実成分が主体となっており、嚢胞内の充実成分増大が疑われた。PET-CTでは病変部でSUVmax 4.4とFDG高集積を認めた。精査目的にEUS、ERPを施行した。EUSでも他の画像検査と同様に充実病変が主体として描出された。EUS-FNAを考慮したが、IPMN由来の腫瘍である可能性が考えらえたため、適応外と判断した。ERPでは体部主膵管に約1cmの狭窄を認めたが、嚢胞は描出されなかった。膵管口は開大しておらず、粘液貯留は認められなかった。膵液細胞診で悪性所見は検出されなかったが、経過からIPMCも否定できず、当院外科で腹腔鏡補助下膵体尾部切除術を施行した。病理組織検査では著明な線維化とリンパ球、形質細胞の浸潤を認め、限局性膵腫大を呈した自己免疫性膵炎と最終診断した。腫瘤内の嚢胞には上皮成分が認められず、仮性嚢胞と考えた。仮性嚢胞を合併した自己免疫性膵炎は比較的稀であり、術前診断に苦慮した一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, 仮性嚢胞 |