セッション情報 | 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄) |
---|---|
タイトル | SR-17:術前に診断しえた多発膵Solid-pseudopapillary neoplasmの1例 |
演者 | 山口 恵美(厚生連 尾道総合病院 外科) |
共同演者 | 福田 敏勝(厚生連 尾道総合病院 外科), 河島 茉澄(厚生連 尾道総合病院 外科), 高橋 元(厚生連 尾道総合病院 外科), 吉村 紀子(厚生連 尾道総合病院 外科), 中野 亮介(厚生連 尾道総合病院 外科), 佐々田 達成(厚生連 尾道総合病院 外科), 住谷 大輔(厚生連 尾道総合病院 外科), 山木 実(厚生連 尾道総合病院 外科), 則行 敏生(厚生連 尾道総合病院 外科), 中原 雅浩(厚生連 尾道総合病院 外科), 米原 修司(厚生連 尾道総合病院 病理診断科) |
抄録 | 膵Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)は、すべての膵腫瘍の0.13~2.7%、膵外分泌腫瘍の中では1~2%と比較的まれな腫瘍である。若年女性に好発し、比較的予後良好な膵腫瘍であるが、時に転移や浸潤を示すことがあり、SPNと診断されれば外科的切除の適応となる。SPNのほとんどは単発で発見されており、多発例の報告は極めて稀である。今回我々は術前検査で多発SPNと診断しえた1例を経験したので報告する。症例は32歳女性。人間ドックの腹部超音波検査で膵体部に腫瘤を指摘され、精査目的で当院を受診した。腹部造影CTで膵頭体移行部に5mm大の動脈相で低濃度、門脈相から平衡相にかけて等濃度に造影される腫瘤を認め、さらに膵尾部に10mm大で同様の造影態度を示す境界不明瞭な腫瘤を認めた。MRIでは、CTと同部位にT1強調像で低信号、T2強調像でやや高信号、拡散強調像で拡散運動の低下を認め、主膵管との交通や圧排像、尾側膵管の拡張はなかった。多発した膵内分泌腫瘍、SPNなどを疑い、確定診断のため膵頭体移行部腫瘍、膵尾部腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNAB)を施行したところ、2箇所の腫瘍ともに毛細血管を取り囲むように増殖する細胞質の豊富な小型多角形細胞を認め、免疫組織学的検査でα1-antitrypsin陽性、Vimentin陽性、NSE陽性、CD10陽性、Progesterone receptor陽性であった。以上よりSPNの診断にて、腹腔鏡下尾側膵切除術を施行した。最終病理組織学的診断においても2箇所の腫瘍はともにSPNと診断した。術後合併症はなく、術後15日目に軽快退院した。術後4カ月経過した現在、無再発生存中である。 |
索引用語 | 膵SPN, 多発 |