セッション情報 一般演題

タイトル O-08:

内視鏡的治療が困難であった食道静脈瘤出血に対して経静脈的肝内門脈短絡術(Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt:TIPS)が奏効した一例

演者 竹井 大介(岡山大学病院 消化器内科)
共同演者 川野 誠司(岡山大学病院 光学医療診療部), 小林 沙代(岡山大学病院 消化器内科), 安中 哲也(岡山大学病院 消化器内科), 平木 隆夫(岡山大学病院 放射線科), 河原 祥朗(岡山大学病院 光学医療診療部), 高木 章乃夫(岡山大学病院 消化器内科), 能祖 一裕(岡山大学病院 消化器内科), 岡田 裕之(岡山大学病院 光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院 消化器内科)
抄録 門脈圧亢進に伴う食道静脈瘤に対する治療としては、内科的治療として内視鏡的静脈瘤結節術:EVLや内視鏡的静脈瘤硬化療法:EIS、SBチューブ、外科的治療として食道離断術やHassab手術などが挙げられる。しかし前者では止血困難な症例もあり、また後者では手術そのもののリスクが高い症例も認められる。今回、我々は内視鏡的治療を繰り返し施行したものの出血コントロール困難であった食道静脈瘤に対して経静脈的肝内門脈短絡術(TIPS)が奏効した症例を経験したので報告する。症例は45歳女性。36歳時にPBCと診断された。42歳、43歳の2回に食道静脈瘤に対して予防的にEIS+EVLを施行。今回食道静脈瘤破裂にて当院に救急搬送となった。緊急内視鏡検査にて出血部にEVL施行後集中治療室に入室となった。入院26日目の内視鏡再検にて、食道静脈瘤(F2,RC sign+++)を認めたためEVLを追加。1週間後に再検したが、治療した箇所の隙間に新たなRC signの出現を認めた。内視鏡的治療のみでは静脈瘤のコントロール困難と考え、治療方針を検討していたが、入院49日目に再吐血。緊急内視鏡検査を施行したが、内視鏡的止血は困難でありSBチューブにて対応した。治療方針を再度検討し、入院64日目にTIPSを施行した。術後7日目に内視鏡検査を施行したところ、静脈瘤は著明な改善を認め(F1,RC-,S+)、その後退院となった。TIPSの適応に関してはいくつかのガイドラインが発表されているが、黄疸が高度な症例は禁忌とされることが多い。本症例はPBCが基礎疾患であり、出血後に高度な黄疸を認めていたため、TIPSは本来適応外と考えられたが、その他の検査項目から肝予備能自体は保たれていると判断、TIPS施行し良好な結果を得ることができた。本症例について若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 食道静脈瘤, TIPS