セッション情報 シンポジウム「中国地方における消化器病専門女性医師の活躍と環境整備」

タイトル S-06:

当院における消化器病専門女性医師の現状と今後の展望

演者 藤原 明子(岡山済生会総合病院 消化器内科)
共同演者 山本 久美子(岡山済生会総合病院 消化器内科), 關 杏奈(岡山済生会総合病院 消化器内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院 消化器内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院 消化器内科)
抄録 当院は岡山市中心部の2次救急に対応する病床数553床の急性期病院で、本学会専門医制度認定施設であるとともに日本消化器内視鏡学会指導施設である。当院内視鏡センターに属する消化器内科スタッフは本学会認定専門医7名(男性5名、女性2名)で、レジデントの指導をしている。私が赴任した10年前には当院消化器病専門女性医師は0人であった。この5年間は本学会認定専門常勤女性医師が2名おり、消化器病専門医を志す女性レジデントを3名輩出した。近年は3名の女性医師が消化器病専門医として外来および病棟業務を担っている。消化器癌の化学療法や炎症性腸疾患、緊急内視鏡検査処置など専門性を要する消化器疾患全般に対応するとともに、外来では消化器病専門医宛の紹介を受けている。女性専門医のH24年度(H25年3月12日現在)専門外来指名紹介数は498例(消化器内科宛紹介のうち24.3%)で、内視鏡全検査数は3908例(当センター全内視鏡検査の33.7%)であった〈上部消化管2391例、下部消化管1290例、逆行性胆管膵管造影(以下ERCP)113例、予防的食道静脈瘤硬化結紮療法(以下EISL)100例、小腸内視鏡2例、カプセル内視鏡12例〉。既婚女性医師が内視鏡検査処置を行う上で問題となるのは、小腸内視鏡検査、ERCP、EISL、内視鏡下ステント留置術などの放射線下の処置および夜間休日の内視鏡検査呼び出し対応である。出産・育児期には業務時間外のカンファレンスや学会・研究会に参加できず、継続した消化器病専門常勤業務を諦めざるをえなくなる。シニアレジデント終了までの6年間に消化器疾患全般について学ぶとともに、上下部消化管内視鏡検査など基本的技術を習得し単独で安全に検査が行えるように修練しておくことが好ましいと考える。性差のない平等な専門的研修機会をもつには、女性医師が自律し計画的な展望を持つとともに、周囲環境の支援が不可欠である。今後の消化器病専門医の分業やチーム医療について男性女性医師全体で考えていくことで、介護休暇も考慮した高齢化社会に対応できる一歩進んだ環境整備構想となるだろう。
索引用語 消化器病専門医, 女性医師