セッション情報 一般演題

タイトル O-19:

脂肪肝炎様の肝組織像を呈した、自己免疫関連疾患の1症例

演者 岡本 欣也(鳥取大学 医学部 第二内科)
共同演者 三好 謙一(鳥取大学 医学部 第二内科), 木科 学(鳥取大学 医学部 第二内科), 藤瀬 幸(鳥取大学 医学部 第二内科), 加藤 順(鳥取大学 医学部 第二内科), 徳永 志保(鳥取大学 医学部 第二内科), 植木 賢(鳥取大学 医学部 第二内科), 大山 賢治(鳥取大学 医学部 第二内科), 法正 恵子(鳥取大学 医学部 第二内科), 岡野 淳一(鳥取大学 医学部 第二内科), 孝田 雅彦(鳥取大学 医学部 第二内科), 村脇 義和(鳥取大学 医学部 第二内科)
抄録  自己免疫関連疾患は発熱等を主訴とする慢性再発性の全身性炎症症候群で、しばしば生命にかかわる重篤な経過をたどることがある。今回我々は自己免疫関連疾患を疑わせる経過中、脂肪肝炎に類似した肝組織像をみとめた症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は50歳代女性。生来健康。アルコール不耐のため飲酒歴は全くない。平成2X年9月より、掻痒感を伴う全身の皮疹と弛張熱が見られるようになり、近医入院。不明熱の精査目的に11月当院転院。入院時39℃の弛張熱、肝腫大、四肢および体幹に強い掻痒感を伴うびまん性紅斑を認めた。血液生化学検査では好中球増多と左方移動、線溶系の上昇が特に著明であり、AST, GGT優位の肝機能障害とPTの低下が認められた。総ビリルビンは正常範囲内であった。皮膚生検では、血管周囲のリンパ球浸潤を認めるのみで、非特異的であった。感染症、自己免疫疾患について検討したところ、シェーグレン症候群と甲状腺機能低下症が認められたが、発熱、肝機能障害の原因は不詳であった。画像検査では、CTで強い脂肪肝を伴う肝脾腫、PET-CTで肝、脾、骨髄に高信号が認められた。骨髄生検で異常を認めず、経静脈的肝生検で、強い肝脂肪化と高度な好中球浸潤が認められ、脂肪肝炎の所見であった。 治療的診断として、プレドニンとコルヒチンの投与を開始したところ速やかに解熱し、肝機能障害の改善を得た。しかしステロイド性ミオパチーとコルヒチンによる骨髄抑制のため、コルヒチン中止、プレドニン減量を開始したところ肝機能障害は再増悪した。シクロスポリンの併用にて、再び肝機能の改善を得たが、翌年1月中旬に下行結腸穿孔きたし、緊急左半結腸切除、ハルトマン手術施行。術後14日目に敗血症をきたし、術後22日目に永眠された。 肝組織所見は脂肪肝炎に矛盾しないが、酒類摂取はなく、肝機能増悪に先立って熱発、皮疹も見られており、確定診断には至らなかったが、自己免疫関連疾患に随伴する肝病変が考えられた。
索引用語 脂肪肝炎, 自己免疫関連疾患