セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
---|---|
タイトル | JR-12:腹腔鏡下手術を施行した膵リンパ管腫の1例 |
演者 | 東原 直裕(岡山済生会総合病院 内科) |
共同演者 | 齋藤 玄哲(岡山済生会総合病院 内科), 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院 内科), 小川 俊博(岡山済生会総合病院 外科), 児島 亨(岡山済生会総合病院 外科), 仁熊 健文(岡山済生会総合病院 外科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院 内科), 關 杏奈(岡山済生会総合病院 内科), 金藤 光博(岡山済生会総合病院 内科), 村上 尚子(岡山済生会総合病院 内科), 山本 久美子(岡山済生会総合病院 内科), 伊藤 守(岡山済生会総合病院 内科), 石山 修平(岡山済生会総合病院 内科), 藤原 明子(岡山済生会総合病院 内科), 川上 万里(岡山済生会総合病院 内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院 内科), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院 内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院 内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院 内科), 三村 哲重(岡山済生会総合病院 外科), 糸島 達也(岡山済生会総合病院 内科) |
抄録 | 症例は50代女性。検診にて膵尾部に膵嚢胞性腫瘍を疑われ当院紹介となった。血液検査では特記すべき異常所見を認めず、腫瘍マーカーも正常値であった。腹部超音波検査では膵尾部に35mm大の大小の嚢胞を有する多房性嚢胞性病変を認めた。造影CTでは嚢胞壁は菲薄で、壁は造影効果に乏しく、内部に明らかな結節像や充実性成分は認めなかった。MRIでは病変はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号であり、MRCPでは病変と膵管との交通は明らかではなかった。超音波内視鏡検査でも同様に、膵尾部に菲薄な壁を有する嚢胞性腫瘍を認めたが、内部の結節像や充実性成分は明らかでなかった。内視鏡的逆行性膵管造影では主膵管に異常所見を認めず、膵液細胞診でも悪政所見を認めなかった。画像所見よりmacrocystic typeの漿液性嚢胞腺腫や分枝膵管型IPMNなどを鑑別に考えたが、確定診断に至らず、本人家族と相談の結果手術を行う方針とし、腹腔鏡下尾側膵切除を施行した。術後病理標本では、病変は膵尾部に存在する35mm大の、多房性嚢胞性腫瘍で、嚢胞は菲薄な壁を持ち大小さまざまであった。組織学的には、間質にリンパ球の浸潤を認め、嚢胞壁は細胞成分に乏しく、わずかに単層の細胞で裏打ちされおり、細胞はCK陰性であり上皮細胞の性格を有さず、CD31陽性、D2-40陽性でありリンパ管内皮細胞の性格を有することが判明し、腫瘍を膵リンパ管腫(cystic lymphangioma)と診断した。膵リンパ管腫は良性腫瘍であるが、画像診断では他の嚢胞性膵腫瘍との鑑別が難しく、本症例のように術前診断が困難であることが多い。膵腫瘍の中でも比較的まれな組織型であり、今回若干の文献的考察を添えて報告する。 |
索引用語 | 膵腫瘍, リンパ管腫 |