セッション情報 一般演題

タイトル O-41:

嚢胞内に出血を起こし増大した膵漿液性嚢胞腫瘍の1例

演者 鳩岡 正浩(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学病院 消化器・代謝内科), 芹川  正浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 南 智之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学病院 消化器・代謝内科), 行武 正伸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 石井  康隆(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 毛利 輝生(広島大学病院 消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学病院 消化器・代謝内科), 清水 晃典(広島大学病院 消化器・代謝内科), 壷井 智史(広島大学病院 消化器・代謝内科), 村上 義昭(広島大学病院 消化器外科), 有廣 光司(広島大学病院 病理診断科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 症例は42歳、男性。von Hippel Lindau病に伴う両側腎細胞癌の診断にて当院泌尿器科にて開腹右腎部分切除術、後腹膜鏡下左腎摘出術を施行された。手術前より単純CTで指摘されていた多発膵嚢胞が増大傾向にあり、背部痛も出現したため、精査加療目的にて当科に紹介となった。USとEUSでは膵尾部に、内部に隔壁様構造を有し、辺縁に微小な嚢胞の集簇した80×40mm大の嚢胞性病変を認めた。嚢胞内部のエコーレベルはやや高く、出血や粘液の存在が示唆された。また、膵頭部と体部にもそれぞれ8mmと13mm大の単房性嚢胞が認められた。MRIでは膵尾部の嚢胞はT1WI、T2WIでそれぞれ比較的均一な高信号を示した。ERPでは膵尾部主膵管には嚢胞による圧排と思われる偏移を認めたが、嚢胞との連続性は見られなかった。以上の所見より膵尾部の多房性嚢胞は内部に出血を来した膵漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm; SCN)、mixed typeと診断した。増大傾向にあり、この病変によると思われる背部痛を伴っていることから、手術適応にあると判断し当院消化器外科にて脾合併膵体尾部切除術を施行した。嚢胞の内用液は血性であり、大部分は異型の乏しい単層立方上皮で覆われており、この細胞の胞体はPAS反応陽性、ジアスターゼで消化された。以上の所見からserous cystic adenomaと診断された。今回我々は、嚢胞内に出血を起こして増大したSCNの1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵臓, SCN