セッション情報 | 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄) |
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タイトル | SR-09:保存的加療にて軽快した腹膜垂炎の2例 |
演者 | 吉本 匡志(福山市民病院 外科) |
共同演者 | 植木 亨(福山市民病院 外科DELIMITER福山市民病院 消化器内科), 友田 健(福山市民病院 消化器内科), 齊藤 俊介(福山市民病院 消化器内科), 名和 徹(福山市民病院 消化器内科), 藪下 和久(福山市民病院 消化器内科), 下江 俊成(福山市民病院 消化器内科), 坂口 孝作(福山市民病院 消化器内科), 井谷 史嗣(福山市民病院 外科), 高倉 範尚(福山市民病院 外科) |
抄録 | 【はじめに】腹膜垂は直腸を除く全結腸に存在する,腹膜に覆われた脂肪組織である.比較的まれな腹膜垂炎の本邦報告例は上行結腸,S状結腸の報告例が多い.しかし全結腸に起こる可能性があり,腹痛・炎症反応の上昇を認めるため,虫垂炎・憩室炎などとの鑑別が困難とされている.原因としては腹膜垂の捻転などによる血行障害型と,近位の憩室炎などの感染が波及する非血行障害型がある.治療は腹膜垂切除の報告が多く,近年では腹腔鏡手術が行われている.今回、画像的に診断し,抗生剤による保存的加療で軽快した腹膜垂炎の2例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例1】30歳代,男性.左側腹部痛を主訴に来院.血液検査でWBC 9800/μl,CRP0.85mg/dlと軽度上昇あり,腹部造影CTで下行結腸に接した軟部組織の増生を認めるものの結腸壁の肥厚は認めず,腹膜垂炎と診断した.抗生剤内服による保存的加療とし,7日目に症状・炎症反応ともに改善した.【症例2】60歳代,男性.検診で胸部異常陰影,便潜血陽性を指摘され来院.下部消化管内視鏡でS状結腸にポリープを認め,ポリペクトミー施行した.また肺癌疑われPET-CT施行した.その後に左側腹部痛が出現.血液検査ではWBC 9600/μl,CRP4.17mg/dlと上昇していた.PET-CTではポリペクトミー近傍にFDG集積を認め,微小穿孔による限局性腹膜炎を疑われた.腹部造影CTでは下行結腸と距離をおいて脂肪濃度上昇を認めたため,腹膜垂炎と診断した.抗生剤内服による保存的加療とし,14日目に症状・炎症反応ともに改善している.【結語】以前は腹膜垂炎は虫垂炎・憩室炎との鑑別が非常に困難とされていたが,近年の画像検査の進歩とともに正確な診断が可能となっている.保存的加療にて軽快しない症例で,外科的治療が必要であると考えられた. |
索引用語 | 腹膜垂炎, 保存的加療 |