セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-11:

EVLおよびPTP併用B-RTOで救命し得た十二指腸静脈瘤破裂の一例

演者 井上 貴統(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科)
共同演者 大屋 敏秀(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 守屋 尚(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 久賀 祥男(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 岡信 秀治(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 北村 正輔(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 吉福 良公(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 中村 有希(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 平野 哲朗(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 消化器内科), 帖佐 啓吾(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 放射線科), 内藤 晃(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 放射線科), 釈舎 龍三(ときや内科)
抄録 【症例】70歳女性。C型肝硬変加療中、平成XX年12月吐下血を主訴にときや内科を夜間受診。Hbが12.7 g/dlから6.5 g/dlへと低下したため翌朝、中国労災病院へ救急搬送された。来院時には3.4g/dlと著明な貧血を認めた。造影CTで十二指腸静脈瘤および十二指腸内への造影剤の漏出を認め十二指腸静脈瘤からの出血と診断した。ただし、CTでは十二指腸静脈瘤から下大静脈への短絡路が不明瞭であった。ショック状態となったため急速輸液と大量輸血を行いながら上部消化管内視鏡検査(GIS)を実施。十二指腸下行脚に噴出性の出血部位を確認し内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行し止血に成功した。同日、再出血予防のため右大腿静脈からバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を試みるも短絡路へのカテーテル挿入が不可能であった。またこの時点では不穏状態であったため経皮経肝的門脈造影法(PTP)は断念した。全身状態の改善を待って第3病日にPTPを行ったところ門脈-十二指腸静脈瘤-下大静脈短絡路の造影が可能であり、この情報をもとに右内頚静脈穿刺でのB-RTOを行い成功した。その後は新たな出血なく貧血は改善し第12病日に退院した。1ヶ月後のCTで十二指腸静脈瘤および供血路の血栓化を確認した。【考察とまとめ】十二指腸静脈瘤の破裂は静脈瘤の中でも特に死亡率が高い。本症例はCTで十二指腸静脈瘤の診断が可能であったこと、EVLによる緊急止血でショック状態から離脱できたこと、CTは同定で困難であった十二指腸静脈瘤-下大静脈短絡がPTPで描出できB-RTOが実施できたことなどにより救命できた。EVLおよびPTP併用B-RTOで救命し得た十二指腸静脈瘤破裂の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告をする
索引用語 十二指腸静脈瘤, EVL