セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル SR-03:

胃癌による骨転移・小腸転移に対して集学的治療が奏功した1例

演者 武田 千佳(岡山労災病院 消化器内科)
共同演者 谷岡 洋亮(岡山労災病院 消化器内科), 長谷井 舞子(岡山労災病院 消化器内科), 太田 恭子(岡山労災病院 消化器内科), 白髭 明典(岡山労災病院 消化器内科), 清水 慎一(岡山労災病院 消化器内科)
抄録  胃癌による骨転移・小腸転移に対して、放射線療法、小腸切除、化学療法の集学的治療にて非常に良好な経過を得た1症例を経験したので症例報告する。 症例は78歳男性。200X年に胃癌(signet-ring cell carcinoma, T2, N2, M0, stage3b)にて幽門側胃切除を施行した。術後はTS-1を内服していたが、肺炎を発症し、3か月で中止した。その後は再発もなく経過していたが、術後2年10か月で腰痛が出現した。CTにてL1に一部骨硬化を伴う溶骨性変化を認め、骨シンチにて同部位にび慢性の高集積があり、胃癌の再発転移と診断した。放射線療法(3Gy×12回)を施行し、腫瘍は縮小した。その後、骨転移の増大は認めなかった。術後3年5か月より食後に心窩部痛があり、腹部造影CTにて小腸に全集性の壁肥厚を2か所認めた。小腸内視鏡では小腸に3/4周性の2型の病変を認めた。生検はpoorly differentiated adenocarcinomaで転移性腫瘍が疑われた。腫瘍による腸閉塞をきたす危険性が高いと考え、2か所の小腸切除を施行した。摘出標本では、一部に胃癌の組織と同様の組織像を認めため、胃癌の小腸転移と診断された。術後はドセタキセルによる化学療法を行い、再発は認めなかった。化学療法中にアレルギー症状が出現し、ドセタキセルをイリノテカンに変更した。その後も再発はなく経過し、化学療法を2年施行したところで中止した。現在化学療法を中止後10か月経過しているが、再発は認めていない。
索引用語 胃癌, 小腸転移