セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR-08:

COX-2選択的阻害薬Celecoxib(セレコックス®)による薬物性肝障害の1例

演者 谷 悠真(鳥取市立病院 内科)
共同演者 谷口 英明(鳥取市立病院 内科), 柴垣 広太郎(鳥取市立病院 内科), 藤田 拓(鳥取市立病院 内科), 懸樋 英一(鳥取市立病院 内科), 久代 昌彦(鳥取市立病院 内科)
抄録 【症例】49歳女性。SLEにて加療中でありPSL5mgにて病勢は安定していた。平成23年8月に手指の関節痛がありCelecoxib 200mg/日内服を開始となった。内服開始16日後に38度台の発熱、倦怠感が出現し、血液検査で著明な肝障害(AST1935IU/l,ALT1329IU/l,LDH1908IU/l,ALP553IU/l,γ-GTP145IU/l,T.Bil0.5mg/dl)を認めたため入院となった。腹部CT、腹部超音波では特記所見を認めず、肝炎ウイルスマーカーも検索範囲は陰性であった。Celecoxibによる薬物性肝障害を疑い、内服を中止したところ、速やかに肝機能は正常化した。抗核抗体640倍(speckled pattern)と高値であり自己免疫性肝炎が鑑別に挙がったが免疫グロブリンの増加はなく、第14病日に行った肝生検においても自己免疫性肝炎を疑う所見は認められなかった。一方、Celecoxibに対するリンパ球幼弱化試験は陽性(Stimulation index 200%以上)であった。以上の臨床検査所見より、Celecoxibによる薬物性肝障害と診断した。【考察】COX-2選択的阻害薬Celecoxibは、従来のNSAIDsと比べ消化管障害が少なく近年使用頻度が増加している薬剤である。Celecoxibによる薬物性肝障害は稀とされているが海外では重症肝障害例が報告され、注意すべき副作用と考えられる。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 薬物性肝障害, COX-2選択的阻害薬