セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル JR-02:

根治術後26年にて生じた胃癌膀胱転移の1例

演者 飯尾 澄夫(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科)
共同演者 山口 厚(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 桑井 寿雄(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 山下 賢(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 保田 和毅(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 水本 健(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 檜山 雄一(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 木村 治紀(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 山口 敏紀(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 河野 博孝(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 齊藤 彰久(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 病理部), 倉岡 和矢(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 病理部), 谷山 清己(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 臨床研究部), 高野 弘嗣(国立病院機構 呉医療センター 中国がんセンター 消化器科)
抄録 症例は79歳男性.53歳で胃癌に対し幽門側胃切除を施行された.最終組織診断は低分化型腺癌(印鑑細胞癌),深達度はMPでリンパ節転移は認めず根治切除であった.その後経過良好であったが,2012年2月急性胆管炎にて当院入院時に施行したCT検査で,膀胱の壁肥厚を認めたためTUR-BTを施行した.病理診断は低分化型腺癌であった.第一に転移性膀胱腫瘍を疑い全身検索したが,明らかな新規原発巣は認められず,TUR-BT組織と胃癌切除標本の比較検討にても26年前に切除した胃癌からの膀胱転移が最も疑われた.しかし原発性膀胱癌の可能性も完全に否定できず,胃癌転移であるとしても孤立性であることより,同年7月膀胱切除を施行した.病理組織は膀胱粘膜に異常はなく粘膜下から周囲への増生を示す腫瘍でった.転移性膀胱腫瘍が疑われる所見であり,免疫染色などからも胃癌からの転移が最も考えられた.全身化学療法を検討し,同年9月に全身CTを施行したところ新たに肝彎曲,横行結腸に造影効果のある壁肥厚を認めた.CSでは同部位の粘膜面には異常を認めなかったが,EUSで低エコーな粘膜下層の肥厚を認めた.生検にて粘膜下層組織内に低分化型腺癌を認め,胃・膀胱の腫瘍組織と同様であり,こちらも胃癌からの転移と考えられた.胃癌の膀胱転移および,大腸転移と診断し,現在化学療法中である.今回我々は、胃癌根治切除後26年にて膀胱,大腸への転移をきたした稀な症例を経験したため、多少の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 胃癌, 膀胱転移