セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-23:当院におけるoccult HBV carrierの検討
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演者 |
宮崎 慎一(鳥取生協病院 消化器内科) |
共同演者 |
甲斐 弦(鳥取生協病院 消化器内科), 大廻 あゆみ(鳥取生協病院 消化器内科), 森田 照美(鳥取生協病院 消化器内科), 上萬 恵(鳥取生協病院 消化器内科), 野田 裕之(鹿野温泉病院 内科) |
抄録 |
【はじめに】HBs抗原はB型肝炎の血清マーカーとして日常臨床において広く用いられている。しかし、B型肝炎の病態のなかにはHBs抗原が陰性でありながらHBV-DNAが検出される時期が存在する。一つは感染初期のHBs抗原が陽転化するまでの、いわゆるウィンドー期、もう一つは感染晩期にHBs抗原が検出感度以下に低下したにもかかわらずHBV-DNAのみが検出される病態である。一般的には後者をOccult HBV感染といい、輸血による感染や免疫抑制剤や化学療法におけるHBV再活性化が問題となっている。そこで、当院におけるOccult HBV感染症例について若干の文献的考察を加え検討してみた。【対象と方法】2008年4月から2011年2月までの間にHBV-DNA(リアルタイムPCR法)を検査した509検体204名の患者のうち、143名がHBV carrier(HBV-DNA陽性ないしはHBs抗原陽性)であった。そのうち5名(3.5%)がHBV-DNA陽性かつHBs抗原陰性のいわゆるoccult HBV carrier(以下Occult群)であり、その臨床的特徴について検討を行った。【結果】 Occult群の平均年齢は68.8歳(42~82歳)、男女比は3:2であった。HBV-DNAは1.84±0.80(Logコピー/ml)、HBs抗体陽性例は2例(40%)、HBc抗体は全例陽性であった。HBe抗原は全例陰性、HBe抗体は全例陽性であった。肝細胞癌の合併は2例(40%)に認められた。非Occult群と比べ、平均年齢、男女比、肝細胞癌合併率に有意差はみられなかったが、HBV-DNA量はOccult群において有意に低値であった。65歳未満と65歳以上でHBs抗原量を比べた場合、後者において有意に低値であった。【考察】HBs抗原は年率0.5~2.5%の割合で消失すると言われているが、今回の検討でも、65歳以上でHBs抗原量が有意に低値であり、加齢とともに抗原量が低下し、そのうちの一部がoccult HBV carrier化していくものと推測された。Occult群においても発癌が認められており、非B非C型肝炎からの発癌の一部に関与している可能性がある。 |
索引用語 |
occult, HBV |